Laundry【ars K.N】 (ページ5)

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シページ5

「えぇっ！？視線...！？」

ゲームをやめたのか、スマホをテーブルの上にポイっと置いた口笛兄さんは「うん」って頷く。

「いや...あの、見詰めてた訳じゃ...」
「でもずーっとこっち見てたっしょ？」
「...見てた...です」
「見てたですよね」
「見てたです...」

ジーって見られたまま、無言の時間。
数秒。

「見詰めてたんじゃなくって！」

私が言うと、彼は興味深そうにテーブルに両肘を乗せて前のめり。

「...観察...」
「はぁ？」
「観察...してました...スミマセン」

また沈黙。
二台の洗濯機が動く機械音だけがウォンウォン響いてる。

「で、観察結果は？」
「...結果？」
「何か分かった？オレの事」

失礼なコトしてたし、怒られるかな...と思ってたら口笛兄さんは面白そうにニィっと笑った。

「...若く見えるけど、結構大人なんじゃないかな...と考察しました」
「お。鋭いね」
「そのスウェットは、3年は着てるんじゃないか...とか」
「何でそう思う？」
「私のこのダルダル部屋着も3年選手だからです」
「惜しい！4年目ー」
「4年かー！！」

うわー！って本気で悔しがってから、ハっとする。
私は初対面の人相手に何をしてるんだ。

「...えっとー...」

何だか気まずくなって、まだ洗濯終わらないのかよー！って気持ちでキョロキョロすると

「ねぇねぇ」って口笛兄さんは尚も話しかけて来る。

「他には？」
「他...、ですか？」
「うん。他に」
「あー...あ、何でコインランドリーに来てるのかなー...って考えました」
「アナタはどうして来てるの？」

突然の質問に、「洗濯機が御臨終で」と私は正直に答えた。

「あー、なるほどね」
「...お兄さんは？」
「オレ？オレは、うちに洗濯機が無いのよ」

サラっとそう言うと、テーブルの上でブルっと震えたスマホを見る。

LINEでも届いたのか、テーブルの上に置いたままスマホに指を滑らせてる。

「だってさー、バカたけぇんだもん」
「分かります！！高すぎるんですよ、洗濯機！！」
「電気屋にあんな高い金払う位なら、こっちの方が経済的なんじゃねぇかなーって思って」
「私もたった今、同じことを思ってたんですよ！」

思いっきり同意した私を、少しビックリした顔で見た口笛兄さんは

「気が合うね」

クハって、可愛い顔して笑った。

「...あ、はい...合いますね...」
「お金は大事だよー♪」

ちょっと前のCMソングを歌う口笛兄さん。

大人だとは思うんだけどあまりに笑顔が可愛くて年齢不詳。