Laundry【ars K.N】 (ページ19)

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ロページ19

それこそ。

次こそ甘い展開来る！？って思ったのに。

「彼女に...したい人？」
「うん。したい人」
「したい人...」
「したい人で、シたい人」
「......」
「ンフフ、黙んなよ。ごめんてー、下ネタごめんてー」

カズはさっきの熱っぽい声が嘘みたいに、ダハッと笑った。

「まぁ、さ。オレにだってそーゆーオンナノコは居るよ」
「そう...か」
「人間が生きてたら、恋のひとつやふたつするでしょうよ」
「ひとつやふたつ...」

笑ってたカズが「ふたつは、ねぇか」ってボソと言うと

「『最後のひとつ』にしたい恋をしてるよ。オレ」

ドキンと、胸が鳴ったのに

それが誰に向けて言われてる言葉なのか、分かんないから悔しくて

「そうなんだ...届くと良いね！その想い」

せめて笑顔だけでも作ろうと思った。

「届くかな」
「どうだろう」
「フハッ！そこは『届く』って言ってくれや」
「無責任な事は言えないもん」

私がそう言うと、カズは視線を地面に落とす。

「別に無責任でも良いんだけど...」
「え？」
「んー。ううん、何でも無い」

何でも無いって言われて、あぁ何でも無いのかって思える程

私は素直じゃない。

だけど、「どうしたの？何でそんな事言うの？」って言える程の勇気も無い。

「さぁてと。明日も仕事だし、さっさと帰って風呂入って寝るわ」
「うん。私もそうする」
「彼女が待ってるしー」
「彼女居ないくせに」
「オレんちのブルーレイプレイヤーん中に入って、大人しく待ってる彼女ぉ」
「あー...アダルトなお姉さんね...」
「ごめんてー、下ネタごめんてー！」

ケラケラ笑ったカズは「じゃあねー」って手を振って、私が帰る方向とは逆方向へと歩いて行った。

「......何だよ...」

遠ざかって行く背中に、ちょっと乱暴に呟く。

「あぁ、もう...」

彼女居るって思い込んで落ち込んで、実は居ないって分かって浮上して

彼女にしたい人！？ってドキドキして、結局何だか分からないまま終わった。

ランドリーからの帰り道を、切ないんだか虚しいんだかモヤモヤしながら一人歩く。

じゃあ、自分から告白でもしたら良いのにって思うけどフラれたらシャレにならない。

だって洗濯機無いのに！
フラれたら気まずくてランドリーに行けなくなっちゃう。

「...って事は...」

洗濯機を買う時が、私がカズに告白する時だ。

「...それ、いつになるのよ...」

相変わらず寂しいお財布事情。

私はやるせない気持ちで夜空を見上げた。