笑える日まで ページ1
章大 13歳
午後6時、近所の家から美味しそうな香りがただよってくる。
だけど、僕は一人きり
何も無い部屋でいい子にしてなくちゃ。
それが、ママの言い付けだから______
ガチャリと鍵が開いた音がした。
昨晩から出掛けていたママが帰ってきたのだ。
やっとご飯が食べられる、と思った。
昨日の夜から何も食べていない。
冷蔵庫の中は空っぽだし、お金はママの管理下だから。
「おかえりなさいっ」
子供なりに、精一杯の笑顔で言う。
しかし、欲しかった言葉の変わりに返ってきたのは、舌打ちだった。
そして、こちらを一瞥すると
ん、とカップラーメンを投げつけてくる。
「ありがとう......!」
ママは、それを無視しシャワー室へ向かった。
しばらくすると、シャワーを浴びる音が聞こえてくる。
僕は、食べ飽きたカップラーメンにお湯を注ぎ、考えた。
『間違って出来ちゃっただけの元彼の息子』
僕は、要らない子......?
『喋らないで 泣かないで 笑わないで 腹が立つわ』
僕は、要らない存在......?
痣だらけの体
細すぎる体
醜い体
“素敵な明日“を夢に描くコトさえダメだった...
こんな僕に存在価値はあるの?
ねぇ、誰か教えて......?
【笑える日まで】
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あゆ丸 | 作成日時:2016年10月14日 21時