Clear-Crane-Crime 9th【arsM.A】 (ページ42)

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自分に起きた事を、全部潤くんに話した。

思い返してみたら、あんな酷い事やこんな馬鹿な事をしてたんだよな...って話も。

潤くんはオレが話してる間、黙って聞いてて。
話し終わったら、「なるほどね」と呟いた。

「ニノはさ、もっと正直になれよ」
「...正直？」
「俺達には正直過ぎる位なのに、何で彼女には辛い事も話さない訳」
「だってカッコ悪いじゃん...」
「格好悪い所だって、見せて欲しいに決まってるじゃん」

バッカじゃないのー？って、小突かれる。

「心許して欲しかったんだよ、彼女は」
「.....」
「そりゃ、ニノの酷い態度にもウンザリしてただろうけど」
「だよねぇ...」

抱えた膝に顔を埋める。

「ずーっと我慢してたんだろうね」
「.....」
「ずーっと耐えてたんだろうね」
「.....」
「お前の事が好きだから」

鼻の奥が痛い。

「ニノは無駄に賢くなるな」
「何、それ...」
「大馬鹿野郎なんだから、そのまんまを見せたら良いんだよ」
「.....」
「冷めた振りしてスカしてんのも、全然似合わないかんな？」

悪口かよ。悪口なの？悪口だよね。悪口かな？

そんな気分で潤くんを見ると、彼はニッコリと笑った。

「俺は雨の中、なりふり構わずに彼女を探すニノが好きだよ」
「.....」
「きっと彼女もそんなニノを好きだったはずだよ」

思い出す。
三年前のあの日。

オレが駅で周りの目なんか気にせず、でっかい声で告白したあの日。

キミは、笑いながら大きな涙を零したよね。

キミの涙を見たのは、後にも先にもあの時が最後だった。
悲しい涙は、見た事が無かった。

たくさんたくさん、泣いてたはずなのに。
オレには一度も、泣き顔なんて見せなかった。

「潤くん...明日は晴れるかな...」
「晴れたら良いのにな」
「晴れたら...Aに会いたい...」
「晴れなくても会うべきだと思うよ？」

・

キミは出てったきりもう行方も分からなくて.....なんてドラマみたいな事は無く、すぐに会う事が出来た。

話し合って、不満もちゃんと伝えて貰って、オレの気持ちもちゃんと話して、また仲良くやろうねって決めたけど

若い2人の間に出来ちゃった溝は、簡単に埋まらなくて。

オレ達は、その半年後に正式に別れた。

正式に...ってなんだろう？って思うけど、自然消滅じゃないから『正式に』なんだろう。

晴れでも雨でもない、どんよりとした日だった。