Clear-Crane-Crime 9th【arsM.A】 (ページ27)

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307.気の合う二人。ページ27

季節は移り変わって、もう春が近付いていた。

あの件から何度かあったミヤビナイトに来てなかった智さんが、一番最近あったナイトに久々にやって来て雅紀くんとも久々に顔を合わせた。

「おーちゃん...」
「久し振り、相葉ちゃん」
「うん、久し振り」
「うん」

潤さん以外が揃ってるベースで挨拶を交わした二人を見て、二宮さんが「オレ、飲み物取りに行って来るー」と階段を降りて行って

チラリと智さんに目で合図をしたような櫻井さんが頷いて「A、俺お腹痛い...」とか言い出した。

「え？お腹？」
「うん...一緒に松潤の所行って薬貰ってくれる？」
「あ...あぁ、はい。一緒に行きましょう」

そうか。空気を読んだんだなと察して、演技でフラフラしてる櫻井さんと一緒にベースから降りるとすぐにシャンと背筋を伸ばした。

「別にお腹痛いなんて言わなくても良かったんでは？」
「他にベースを出て行く言い訳が見付からなかった...」

眉毛を下げてちょっと情けない表情。
愛嬌のある人だ。

「二宮さんみたいに飲み物無いからーとかで良かったのに」
「だってもうそれは使われた言い訳じゃん。バレバレじゃん」
「『お腹痛い』の方が嘘なのバレバレですよ？」
「うっそ！迫真の演技だっただろ！？」

本気で言ってるのか冗談で言ってるのか分からない櫻井さんとカウンターへ行くと、そこではもう二宮さんがビールを飲んでる。

その隣に腰掛けて、ちょっと不安になる。

「心配？」

潤さんが私の前にオペレーターを出しながら、訊いてくれた。

「...少し」

「まぁ、恋敵だった二人だからね」と二宮さんがクフっと笑う。

「こら、ニノ。大丈夫だよ、あの二人なら」

潤さんが二宮さんの頭にチョップしながら、そう言った。

「同じ子を好きになっちゃう位に気が合う二人なんだから。何だったら一番仲良くなれるはずだよね」
「松潤、ソレすっげぇ良い考え方！」
「でしょー？」

櫻井さんと潤さんが顔を見合わせて笑った。

「しかし、本当にでも子の何が良くてあんなイイオトコ達が取り合ってたんだかオレにはさっぱり...」
「安心して下さい、私にも分かりませんから」
「うわぁ、すげぇムカつく顔してる！」

ダハハ！と笑った二宮さんの背後から近付いてきた雅紀くんがその耳元で

「オレの子虐めたら、富士樹海に捨ててやんぞ？」

と、甘い声で囁いて

雅紀くんの隣に立ってた智さんが、腰を折って爆笑してた。