Clear-Crane-Crime 9th【arsM.A】 (ページ14)

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294.質問と答え。ページ14

「おーちゃんに、何か言われた？」

雅紀くんが、その表情のまま言った。

「......え？」
「おーちゃんが俺からAちゃんを奪って帰ってった日」
「奪ったって、そんなんじゃ...」
「俺にはそう見えたんだもん」

笑ってた口元が、少し尖る。

言わないままでいられるなら...とも正直思ってた。
優しい嘘っていうのがあるなら、これがそれだとも思ってた。

「ホントのコト言ったら、俺がおーちゃんを攻撃するって思ってる？」
「あ...えっと...」

それも、ほんの少し考えた。

私の為なら他人がどうなっても良いって言う雅紀くんの言葉が本気だとしたら、智さんにどんな仕打ちを...？なんて思う。

「大丈夫だよ。俺、そんな悪魔じゃない」

フフッ、と笑うと「俺が許せないって思うのは、Aちゃんを傷付ける相手だけ」と私の頭を撫でた。

「おーちゃんがAちゃんを傷付けるとは思えない」
「......」
「むしろ、大切に想ってんだろうなって思った」

何も言えなくて、視線を落とす。

「男同士だからね、分かっちゃうんだ。おーちゃんのAちゃんを見てる目が、俺と一緒」
「......」
「そもそも、何とも思ってない子の為にあんな真剣に怒らないでしょ」
「...それは...」

部下の為だから怒ってくれたんだよ、とか
友達の事でも真剣になってくれる人なんだよ、とか

いくらでも逃げ道はあったのに、雅紀くんに上手く嘘をつくなんて事はできそうにも無くて。
否定も肯定も、何も声に出せない。

「じゃあさ、言わなくって良いから。俺の質問に、頷くか首を振るだけで良いよ」
「...うん」
「おーちゃんに、告白された？」

ストレートな質問に、私は一拍置いて

頷いた。

「...そっか」
「......」
「やっぱそうだよね。俺だっておーちゃんの立場だったら告るのはあのタイミングだなって思うもん」

眉間に皺を寄せてアハ、って笑う。

「ちょっと良いなぁとか、思った？」
「...えっ？」
「だって俺に不信感持ってた時に告られた訳だからさ...おーちゃん、格好良いし。優しいし」
「......」
「俺が女の子だったら、フラーっと靡いちゃいそうだなぁと思って」

どちらかと言えばいつも背筋を伸ばしてるタイプの雅紀くんが、不安そうな笑顔を見せた。
そんな彼に庇護欲が刺激されて、息苦しい。

「...靡いてないから、私ここに居るんだよ？」

腕を伸ばして雅紀くんの頬に触れると、彼ははにかむように微笑んだ。