Clear‐Crane‐Crime 8th【ars M.A】 (ページ2)

今日:2 hit、昨日:6 hit、合計:1,675,499 hit

247.その代わり。ページ2

「もう、うるさいよ」

あっとゆー間に雅紀くんの腕の中。

「アハッ、ごめんね？」
「フフッ。Aちゃん、あんまり歌上手くないね」
「えっ！？ひっど！」
「良いじゃん。その代わり、可愛いんだから」
「......」

可愛い上に歌上手い人なんて腐るほどいるよ！って思ったけど、やっぱり好きな人からの『可愛い』は特別で胸キュンしちゃって何も言えない。

畳の上で寝転がって雅紀くんに抱き締められて、何か周りから遮断されてるような気分になる。

「一発ヤってんじゃねぇぞ」

そんな気分は一瞬でぶち壊されるんだけど。
そんな予感はしてたけど。

「ヤってねぇよ」

顔も上げずに寝転んだまんま、雅紀くんがベースに上がって来た二宮さんに応えた。

さすがに恥ずかしくて、雅紀くんの腕から這い出て正座。

「でも子も、どこででもヤらせたら駄目だろ？女の子なんだから」
「すみません、今後気を付けます」

「Aちゃーん！何もシてないでしょ！」って雅紀くんが起き上がりながら笑ってる。

ニットコート姿の二宮さんの首回りは、ストールだかスヌードだかがグルグル巻き付いてる。

「イチャついてたのは間違ってないでしょ？」
「イチャついてたけど」

雅紀くん、否定しない。
まぁ現場押さえられてるから言い逃れもできない。

「なぁでも子。今日って翔ちゃん来る？」
「仕事あるからちょっと遅くなるらしいけど、遊ばなきゃ仕事頑張れないから行くって言ってました」
「ンフフ、あの人らしいな」

二宮さんが首のグルグルを外す。
ストールだった。

「本借りててさぁ。来るなら返せるなと思って」
「何の本？」
「えろ本」
「へぇ」
「フハハッ！納得してんなよ」

いや、ありえるって。
明るいえろの二人ならえろ本の貸し借り位。
何なら感想文とか送り合ってそう。

「おまちどー」

潤さんが、グラスビールを四つトレンチに乗せて持って来てくれた。
もう片方の手には唐揚げの乗ったお皿。

それぞれグラスを持って、乾杯。
雅紀くんがすぐに手掴みで唐揚げを食べながら潤さんに話しかける。

「潤くん、ニノがえろ本借りたんだって。翔ちゃんから」
「うそ、マジで？俺にも回せよ」

当然の事って感じで潤さんが言うから

「えぇぇっ！？」

思わず大声を出してしまった。
だって潤さんは王子様とゆーか、貴族とゆーか...

「お前、オレん時と反応違いすぎだろ」
「いや、だって」
「何だよ」

ニノさんが睨んで来た。