Clear‐Crane‐Crime 7th【ars M.A】 (ページ13)

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223.イタズラ。ページ13

シャワーの音が聴こえてくる。

サラリとした肌触りのシーツに包まれてその音に耳を傾けてると、眠たくなって来た。
目を閉じてしまうときっと、3秒で眠れる。のび太レベル。

あ...今の内に着る物...

気怠い身体を無理やり起こす。

さすがに浴衣には戻れないからシーツを身体に纏ったまま部屋の中をウロウロ。
シーツが床をズルズルと這う。

何か部屋着的な物があるだろうと探して、クローゼットの中にパジャマを見付けた。

「あ、オバケだ」

背後から突然声を掛けられ驚いて振り返ると

「子供の頃、シーツ被ってオバケの真似しなかった？」
「あ...したかも」

...鼻血出るかと思った。

お風呂上りの雅紀くんは、もう何度か見てるけど(って、まぁそれも全然慣れられないんだけど)バスローブなんて、想定外。

しかもバスローブってだけでも何かもうヤバイのに『着てる』んじゃなくて前を開けっ放しで『羽織ってる』だけなんて、いくらおパンツは履いてると言っても何だかんだ諸々丸出し。

「可愛い仮装みたい！ちょっと早めのハロウィン気分だね」
「トリックオアトリートー、なんちゃって。あはは」

目のやり場に困って、でもとりあえずフザけて笑ってみる。

雅紀くんのそれは何かの仮装でしょうか？
ジゴロでしょうか。

「お菓子をくれても、イタズラするぞ？」

ジゴロ風味な雅紀くんが、ニヤリと笑い両手を広げて私を腕の中に閉じ込める。

「...お菓子をくれ『なきゃ』だよ？」
「だってお菓子も欲しいし、Aちゃんにイタズラもしたいじゃん」
「......」

もう心臓がついて行けなくって何も言えない私の頭のテッペンをカプっと噛んで、雅紀くんは「Aちゃんもシャワー行っといで」って身体を離した。

「...うん」

パジャマを抱き締め、シーツはそのまま引きずってバスルームに向かう。

「んっ！？」

急に後ろに引っ張られた感じがして振り向くと、しゃがんだ雅紀くんが私が引っ掛けてるシーツの端っこを持ってて「ウハッ」って笑った。

「何もう、ビックリしたー！」
「イタズラしたいって言ったでしょ？」
「アハッ、本当の悪戯だったんだ」
「ん？本当のって何？どんなイタズラされると思ってたの？」

立ち上がった彼が、目を半月型にして近付いて来る。

そして、スカート捲りよろしくシーツの裾をペラっと捲った。

「うわっ！？」
「色々見えた！い・ろ・い・ろ」

自分だって色々見えちゃってる雅紀くんが、本当に悪戯っ子な顔をした。