Clear‐Crane‐Crime 4th【ars M.A】 (ページ8)

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113.PROPERTY。ページ8

ボンヤリとした頭で、上からフロアを覗いてると

バーカウンターの方から歩いて来た櫻井さんが、ブースの先生に向かってピョンピョン跳ねて手を振ってる。

その後ろから、智さんと潤さんも歩いて来てそんな櫻井さんを指差して仰け反るように笑ってる。

楽しそう。

フロアで揺れてる人達も、みんな楽しそう。

その中心に居る先生を、もう見てる事が出来ない。

脚の力が抜けて、立ってられなくて

その場にペタンと座り込んだ。

二宮さんも、同じように私の隣に座る。

「...って、前に訊いた時は言おうと思ってたのよ」
「.....え？」
「ま、その『前に訊いた時』をでも子は忘れてるみたいだけど」
「...あの...え？」

もう、この人が何を言いたいんだかサッパリ分からない。

「でも、今日は何か...」

二宮さんが首を傾げながら、少し不可解そう。

「そうでも無いかもとか思って」

ハッ、て笑った彼が

「だってお前、相葉さんの所有物みたいじゃん」

私の顔を覗き込みながら、言った。

「しょ...ゆうぶつ...」
「所有物」
「えっ！？うそ...それは無いでしょ.....え？無いでしょ？」
「フハッ！知んねぇけど」

二宮さんが肩を揺らして笑う。

だけど私、全然笑えない。

だって、私が先生のしょ...しょ...所有物に見えてるなんて！？
そんなの、嬉しいって感情しか産まれない！
顔が強ばる！

何なの！
1回地獄まで叩き落としてから、天国まで持ち上げちゃうなんて！
二宮さんって、絶対に彼女にはツンデレタイプだ！

「ま、オレは相葉さんが何を考えてるかは分かんないけどね」
「あ...はい」
「でも子は相葉さんが好きなんでしょ？」

あ...そうだった...。
勝手に1人で落ち込んだり盛り上がったりしてたけど、その質問には結局答えてないんだった...。

「それ、は...内緒...」
「さっきお前、オレが相手なら諦められるっつった」
「えっ！？」
「諦めるってコトは、好きってコトなんでしょーよ」

...しまった...。
ほら、また二宮さんクスクス笑ってる。

何だか照れ臭くて、立ち上がりまたブースの先生を眺める。

格好良い...って思うと同時に、二宮さんから聞いた事が心に引っ掛かった。

「...あ...あの」

私が声を掛けると、二宮さんは座ったまま私を見上げる。

「先生が誰からも好かれないようにしてる...ってのは...結局...」

どーゆー事...？

「あー...それは...」

私から視線を外した彼は、すぐに口を閉じ

もう1度私を見た。