Clear‐Crane‐Crime 4th【ars M.A】 (ページ6)

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111.ライバル。ページ6

二宮さんの視線の先で、先生は気持ち良さそうに音に乗る。

片方の口角を上げた口元から覗く、ロリポップの棒。

頭を揺らしてた先生が、ふっと顔を上げて

ベースを見上げた。

ドキン、と胸が鳴る。
二宮さんが、小さくククッて笑う。

先生はまた、フロアに視線を戻して周りに居るお客さん達を煽り始めた。

「好きになんない方が、でも子の為だよ」

あまりにも先生に釘付けになってしまってて、さっきまでのやり取りすら忘れかけてた私にとって

その言葉は、一瞬何の事だか分からなくて

「.....え？」
「アイツはオンナノコを好きになんない」
「...どーゆー...事ですか...？」

頭の中がグルグルする。

女の子を好きにならない...って...？

二宮さんは手摺に両手を組んで置き、その上に顎を乗せた。
綺麗に口の両端を上げて、潤んだ目で先生を見下ろしてる。

それこそ、女の子みたいな雰囲気で。

「あの...二宮さん...、それは...」

そう言えばこの人達、男子校出身なのに高校でモテたって言ってた。

...嘘でしょ、そうなの？
そーゆー事なの？

...もしかして、二宮さんは先生のコトを好きだったりするの？
あ、だから先生に好意を持ってる私が邪魔で意地悪な事を言って来たりするの？

「二宮さん...」

こちらに首を向け、「ん？」と口を開かず言った彼は

あまりにも色っぽくて、なのにどこか可愛くて

こんな人がライバルなんて、性別関係無く勝てるはずが無い...なんて本気で思わされた。

「私...偏見はありません...」
「...ん？何が？」
「二宮さんなら...仕方ないとゆーか、諦められます...」

あんなにキラキラしてる先生には、二宮さんのような美人が似合うんだ...男だけど...。
でも先生もそっち側なんだったら、何の問題も無いし...女の子好きにならないって、そーゆー事なんだろうし...。

「なぁ、勝手に妄想広げないでくれる？」
「え...」
「でも子、妄想女子だったの？」
「妄想じょ...し...」

...って何ですか？

「でも子が腐ってる方面がお好きだったら、期待を裏切って申し訳無いんだけど」
「.....」
「オレ、ドストレートだからね？」
「...はい？」
「オンナノコしか愛せないよ？」
「.....」
「もっと言えば、三度の飯よりオンナノコが食べたい」

ポカンとしてる私に、彼は

「オレ、生粋のオンナ好きです」

ンフッ、なんて可愛く微笑んだと思えば

「もし男色だったとしても、アイツだけはねぇな！」

今度は、ゲラゲラ笑った。