Clear‐Crane‐Crime 4th【ars M.A】 (ページ15)

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120.ライオン。ページ15

二人でベースに戻ると、櫻井さんが良い感じにご陽気になってた。

二宮さんは私達をチラっと見ると、やっぱりそこまで興味も無さそうにすぐ違う所を見てお酒を飲んでる。

智さんは畳に腹這いになって寝そべって何かしてる。
暫くすると、卓袱台に手を伸ばして何かを置いた。
見てみるときっとキャラメルの包み紙で折ったんだろう、小さな鶴。

それが5羽、並んでる。

「あ、Aちゃん帰ってきたー。相葉ちゃんもおかえりー」

起き上がった智さんが、ふわりと笑った。

「コレ凄いな、智くん。すっげぇ細かい」

櫻井さんが小さな小さな鶴を一羽、指先で摘まんでジーっと眺めてる。
より目になってる。

「翔ちゃんには折れないだろうね」
「ニノは折れんの？」
「オレは何の得にもなんないコトはやんないのー」
「あー、さてはできないんだろー！」
「出来ますー、超絶不器用な貴方と一緒にしないで下さいー」

小学生みたいに言い合ってギャハハと笑う二人。

私はと言うと、端っこに腰を下ろしたは良いけど時間が気になって来た。
まだ終電は間に合う。
でも、そろそろ出なきゃ駅まで走らなきゃいけなくなるかもしれない。

腕時計をチラ見。
この空間から外に出るのは若干寂しいけど...でも、帰れないのはマズイ。

「あの...、私そろそろ...」

相変わらず私の隣に座ってる先生にコソっと言うと「そっか、時間だね」って自分の腕時計を見た。

「ちょっと俺、Aちゃん駅まで送ってくんね」
「えっ！？」

立ち上がって皆にそう言った先生を見上げて「良いです、良いです！」って首を振る。
先生はまたストンとしゃがんで、私の顔をジっと見た。

「良くないよ。週末の繁華街だよ？ライオンだらけなんだから」

顔の横で両手をライオンの手っぽくした先生が「ガオー」って言って、ウハッて笑う。

...うぅ...可愛すぎる...。

「お前がライオンなんじゃねぇの？」

ケッ、って二宮さんが鼻で笑って

「うちの大事な社員、襲うなよー！？」

櫻井さんは、男子高校生みたいなテンション。

「バーカ。俺は君達と違って紳士なんだよ？じゃ、Aちゃん。帰ろっか」

先生が、私の手を引っ張って立たせる。
いちいちドキドキ。

「スイマセン。では、お先に失礼します！」
「Aちゃん、バイバイ」

智さんに声を掛けられて、「はい、また月曜日」って応える。

「ん。会社でね」

小首を傾げ微笑み言った智さんは、またゴロンと腹這いに寝そべった。