#255 ページ17
「 ……照史くん 」
静かに深呼吸をして、静かに彼の名前を呼ぶ。
ん?と首を傾げた照史くんは、これから出てくる私の言葉から逃げるかのように、私と目を合わせてくれない。
「 ……私、ね 」
照史くんに言いたかったこと。……それはきっと、…いや絶対、これしかないと思うんだ。
彼はそのことをもう察していて、だからこそ、さっきから寂しそうな顔をしているんじゃないかな。
合わない視線に少しの寂寥感を覚えながらも、伝えなければと口を開く。
「 ……私、照史くんの気持ちには、応えられない 」
橙『 …… 』
「 …ごめんね… 」
小さく頭を下げて、そして上げても、照史くんと目が合うことはない。
何かを考え込んでいるような照史くんの横顔を見つめる。
沈黙が流れる。その沈黙が、少し気まずい。……だけどここは私が何か言うべきではないと、照史くんの言葉を待つ。
橙『 ……そっか 』
長い長い沈黙の後、照史くんが短く発した言葉は、それだけだった。
橙『 ……Aが、自分で決めたことやもんな 』
やっと目を合わせてくれた照史くん。泣き笑いのようなその表情に、先程よりも胸が苦しく、そして痛くなる。
「 うん。……ごめんね… 」
橙『 謝んなって!……言うたやろ?Aが出した答えなら、なんでも受け入れるって 』
「 照史くん…… 」
橙『 もー、そんなに泣きそうな顔すんなって!………泣きたいのは俺の方なんやから 笑 』
そう言って精一杯おちゃらけてくれるのはきっと、照史くんの優しさ。
その優しさが大好きで、そして私は今まで、何度も救われてきた。
そんな照史くんに私が言うべきなのは ごめん ではなくきっと、
「 ありがとう 」
たった一言の、感謝だと思う。
照史くんは私の感謝に少し遅れて反応して おう とだけ言って笑った。
橙『 ありがとうって言わなあかんのは、俺の方やで 』
「 ……え…?」
意味がわからず首を傾げる私を見て、照史くんはまた、短く笑う。………照史くんの笑顔を見る度に胸がチクッとするのは、今だけは許してほしい。
橙『 また人を好きになることができたのは、Aのおかげやから。……せやから、ありがとうな 』
「 …照史、くん……… 」
幸せになりや って頭を撫でてくれた照史くんの手はやっぱり、頼りになるものだった。……それが無性に、嬉しかったんだ。
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音翔(プロフ) - お疲れ様でした。ほんとに大好きな作品で、更新を毎日楽しみにしてました!終わってしまうのがとても寂しいです。。また何度も読み返します!また素敵な作品を楽しみにしています! (2019年1月21日 23時) (レス) id: 16cd2408d1 (このIDを非表示/違反報告)
ぽっぴん(プロフ) - よりさん» コメントありがとうございます!素敵だと言ってもらえるなんて身に余るお言葉ですありがとうございます( ; ; )これからも頑張っていきます! (2019年1月16日 21時) (レス) id: a5448099dd (このIDを非表示/違反報告)
ぽっぴん(プロフ) - たこやき。さん» コメントありがとうございます!少しでもきゅんきゅんを届けていたらそれほど嬉しいことはありませんありがとうございます( ; ; ) (2019年1月16日 21時) (レス) id: a5448099dd (このIDを非表示/違反報告)
ぽっぴん(プロフ) - き た む らさん» コメントありがとうございます!嬉しすぎるお言葉ですありがとうございます( ; ; )番外編!ネタがありましたら絶対書かせていただきます! (2019年1月16日 21時) (レス) id: a5448099dd (このIDを非表示/違反報告)
より(プロフ) - お疲れ様でした。本当に大好きな作品の一つでした。終わってしまって寂しい気持ちもありますが、素敵な作品をありがとうございました。 (2019年1月15日 18時) (レス) id: c591710770 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽっぴん | 作成日時:2018年9月6日 22時