検索窓
今日:6 hit、昨日:46 hit、合計:396,309 hit

#193 ページ46

「 ん?どういうこと?」



神ちゃんの言葉の意味がわからず首を傾げた私を見て、神ちゃんはへにゃっと笑った。


その笑顔は、情けなさそうにも、困っているようにも見える。







緑『 …ほんまはずっと自分の気持ちに気づいてるはずやのに、…また大事なもん作って失ったらどうしよって、………ビビってんねん、俺 』




ほんま情けないやろ!って神ちゃんは無理してる感じで笑うけど、やっぱり私にはまだ、理解が追いつかない。…神ちゃんは一体、なんのことを言ってるんだろ……。






やがて神ちゃんは、脱力したようにベンチの背凭れに身体を預け、ぽつりと零した。







緑『 ………俺なあ、……Aのこと、好きやねん 』









……………え?神ちゃんが、私のことを……?



混乱してなにも言えなくなった私を見て、神ちゃんはまた、困ったように笑う。







緑『 そんなに驚かんでもええやん 』


「 …………あ、…うん、ごめん…… 」


緑『 ……………………すぐにさ、答え聞きたいなんて言わんから 』


「 …… 」


緑『 俺の予想やけど………、多分もう、俺以外からも告られてるやろ?』





神ちゃんの言葉に戸惑いながら頷くと やっぱりな って神ちゃんも頷いた。


……シェアハウスのみんなは、自分の気持ちのこと、お互いに言い合わなかったのかな……。





多分やけど とか 予想やけど とか言う割に、みんなが告白してきてることを当ててる。









緑『 ……今回は、ちゃんと告白できた 』


「 …………神ちゃん… 」



その言葉を聞いたら、どうしても、神ちゃんの過去のことを思い出してしまう。


立ち上がった神ちゃんの悲しそうな笑顔を見ていられなくて、つい名前を呼んでしまった。







緑『 ……俺がまた人を好きになれたんは、Aが過去聞いて、俺のこと救ってくれたから。好きになった相手が、俺の救世主やった。ただそれだけ 』


ズボンのポケットに手を突っ込んだ神ちゃんは、ベンチに座る私を見下ろしながら言う。







「 …救世主なんて、大袈裟だよ 」



少し笑ってみせると 真剣に言うてんねんけど って神ちゃんは唇を尖らせる。



そんな姿が面白くてまた笑うと、神ちゃんは尖らせた唇を、………私の唇に重ねた。




熱く感じたのは、夏が近づいているからか、お互いの体温のせいなのか…………私には、わからなかった。

#194→←#192



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (326 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1912人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ぽっぴん(プロフ) - ポチャ桐子さん» お優しい言葉をかけていただけるだけで救いになります( ; ; )本当にありがとうございます…! (2018年7月11日 19時) (レス) id: a5448099dd (このIDを非表示/違反報告)
ポチャ桐子(プロフ) - 大変でしたね、こんな言葉だけじゃ何の助けにもならないけど頑張って下さいね、ずっと応援しています。 (2018年7月11日 8時) (レス) id: bb8d77dd99 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - ですよね!私も隅に行きます笑 (2018年6月9日 23時) (レス) id: fcaac9151c (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - 私、今大学生なんですけど、高校の頃、ぽっぴんさんと同じこと思ってました。 (2018年6月8日 22時) (レス) id: 61a68463b3 (このIDを非表示/違反報告)
ぽっぴん(プロフ) - みなみさん» ほんとですかありがとうございます!( 笑 ) (2018年6月8日 22時) (レス) id: a5448099dd (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ぽっぴん | 作成日時:2018年5月18日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。