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side:A
「はあ…… 」
緩く息を吐き出しながら上を見る。少し前までは桜が咲き誇っていたこの木は、今では鮮やかな緑の葉を纏っていた。
これもこれできれいだな って、そう思いながらベンチの背凭れに身体を預ける。
携帯で時間を確認すると、もうとっくのとうに夜の9時を過ぎている。
晩ごはんはいらない って一応言ったけど、帰りが遅いから神ちゃん怒ってるかもな………私が家出る前も、心配そうにしてたし。
そろそろ帰らないと って思うのに、腰が上がらない。………まだもう少し、ここで1人になっていたい。考えていたい。
………どうしても今日だけは、過去のことを思い出してしまうんだ。思い出すしかないんだ。あの日から何年も、ずっとそうだった。これは、この先の未来も変わらないと思う。
こんな複雑な感情であのシェアハウスに帰ったところで、みんなに心配をかけるのはわかってる。
………そんなの、だめだ。今までずっと、心配も迷惑もかけないようにしてきたんだから。
みんなが自分の過去を話してくれる度、いつもいつも、申し訳なかった。みんなが話してくれてるのに、私は……って。
だけどどうしても、話す気になれない。……過去を話せば拒絶されそうで、すごく怖い。
母さんが私を遠ざけようとする理由、私が生まれ育った街を離れてまでここに引っ越してきた理由___それを全部話すのは、もう少し時間が欲しい。
今まで、私の過去を知った人は、私を拒絶して、離れていってしまったから。
我が儘に聞こえるかもしれないけど、あの7人にだけは、失望されたくない。離れてほしくない。
傲慢だなあ って自分に呆れてため息をついた時、
『 A!』
聞き慣れた大きな声が、後ろから聞こえてきた。
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ぽっぴん(プロフ) - ポチャ桐子さん» お優しい言葉をかけていただけるだけで救いになります( ; ; )本当にありがとうございます…! (2018年7月11日 19時) (レス) id: a5448099dd (このIDを非表示/違反報告)
ポチャ桐子(プロフ) - 大変でしたね、こんな言葉だけじゃ何の助けにもならないけど頑張って下さいね、ずっと応援しています。 (2018年7月11日 8時) (レス) id: bb8d77dd99 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - ですよね!私も隅に行きます笑 (2018年6月9日 23時) (レス) id: fcaac9151c (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - 私、今大学生なんですけど、高校の頃、ぽっぴんさんと同じこと思ってました。 (2018年6月8日 22時) (レス) id: 61a68463b3 (このIDを非表示/違反報告)
ぽっぴん(プロフ) - みなみさん» ほんとですかありがとうございます!( 笑 ) (2018年6月8日 22時) (レス) id: a5448099dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽっぴん | 作成日時:2018年5月18日 19時