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#176 ページ29

「 ……なんで…………?」




やっとのことで発した声は、少し掠れ気味で。……それが格好悪くて、なんだか情けない。







「 ……なんで、私のことなんか…… 」



崇裕くんも流星も、私に告白してくれた時、理由を言ってくれた。


それでも理解ができたわけじゃない。なんで私なんか って気持ちは、常にあった。だけど素直に、嬉しかった。戸惑った。





それは、大ちゃんも同じなわけで。



突然の告白は、嬉しかった。驚いた。突然のキスは、緊張した。




大ちゃんだって、他のみんなだって。……7人のことを好きな子なんてたくさんいて、選り取りみどりなはずなのに。



……………………それなのに、なんで私なんかを 好きだ と言ってくれるんだろう。








大ちゃんは私の問いを笑うと よっこらせ と言いながら立ち上がり、ベッドに座る私の隣に腰を下ろした。


私の隣で胡座をかく大ちゃんの距離は近くて、私を見る目は優しくて、……大ちゃんの行動ひとつひとつに、心臓がどきどきといっている。







赤『 嬉しかってん 』


ぽつりと、そう零した大ちゃんに、ワンテンポ遅れて え?と反応する。





赤『 俺の過去、聞いてらもらってもええかって聞いた時に迷わんと頷いてくれたり、俺のこと、…その、抱きしめてくれたり、…頑張ってくれてありがとうって、言うてくれたりしたやろ?』



シェアハウスに来たばかりの時のことだ……そんなこともあったな…




大ちゃんは私に過去を話してくれた初めての人だから、結構印象深く、記憶に刻まれていた。だからその時のことも、今でも鮮明に覚えてる。



大ちゃんの辛そうな姿、固められた拳、涙を堪えている顔、震えた声、……それを思い出すと、胸が少し、ちくりとする。





赤『 俺の過去受け入れてくれるんやって思ったし、抱きしめてくれた時は、なんか、落ち着けて、……それに、頑張ってくれてありがとうなんて、初めて言われた 』


「 うん…… 」


赤『 そういうのが嬉しかったし、一緒に暮らしてて、こいつとおったら落ち着けるなあって、楽しいなって、思えてきてん 』


「 …… 」


赤『 なんで好きなんかって聞かれたら……、まあ、そういうことかな 』





隠すことなく想いを伝えてくれた大ちゃんに、こちらが恥ずかしくなってしまった。

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ぽっぴん(プロフ) - ポチャ桐子さん» お優しい言葉をかけていただけるだけで救いになります( ; ; )本当にありがとうございます…! (2018年7月11日 19時) (レス) id: a5448099dd (このIDを非表示/違反報告)
ポチャ桐子(プロフ) - 大変でしたね、こんな言葉だけじゃ何の助けにもならないけど頑張って下さいね、ずっと応援しています。 (2018年7月11日 8時) (レス) id: bb8d77dd99 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - ですよね!私も隅に行きます笑 (2018年6月9日 23時) (レス) id: fcaac9151c (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - 私、今大学生なんですけど、高校の頃、ぽっぴんさんと同じこと思ってました。 (2018年6月8日 22時) (レス) id: 61a68463b3 (このIDを非表示/違反報告)
ぽっぴん(プロフ) - みなみさん» ほんとですかありがとうございます!( 笑 ) (2018年6月8日 22時) (レス) id: a5448099dd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぽっぴん | 作成日時:2018年5月18日 19時

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