アン・コワン・アンソレイエ【 虹 】４

＃１７１ ページ24

「 …心配……？」



首を傾げると、神ちゃんは手を止めてため息をついた。



そら心配するやろ って吐き出した神ちゃんは、口角は緩く上げられているけれど、目は笑ってない。


どこか怖い神ちゃんの笑顔に、少しだけ怯みそうになってしまう。






緑『 …帰ってきたと思ったらびしょ濡れやしさ 』


「 …… 」


緑『 それにA、俺らに全然弱いとこ見せようとせえへんやんか。……せやから、余計に心配やねん 』




私は、みんなに弱いところを見せてないのかな。……心配をかけたくないから？迷惑をかけたくないから？


……………そんなことを考えていたとしても、結局は、心配も迷惑もかけてしまっていて、自分がなにをしたいのかがわからない。







「 …………ごめんね、なんにも言わないで 」


謝ると、神ちゃんは ええねん って首を横に振る。






緑『 �陲舛磴鵑箸�A見てたら、話しづらいんやろうなってのはわかったし、なら無理矢理聞くわけにもいかんし…… 』



そこで言葉を切った神ちゃんは、顔を上げて ただ と続ける。






緑『 Aの中でほんまにいっぱいいっぱいになって、どうしようもなくなったら、ちゃんと俺らのこと頼って？』


「 …神ちゃん…… 」





神ちゃんの優しさは、いつも心地良い。甘えたくなくても、甘えてしまう。……それは、他のみんなの優しさも同じで。




…みんなのことが大好きだから、大事だから、できるだけ心配や迷惑はかけたくない。





でも、たまには甘えてみるのも良いのかもしれないと、神ちゃんの優しい微笑みを見て思った。

＃１７２→←＃１７０

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す