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#163 ページ16

崇裕くんの声に反応した流星は、私から離れ、そして振り向いた。



その動作は全然慌てていなくて、寧ろ落ち着いていて。……なぜこの状況でそこまで余裕があるのか、私にはわからない。





紫『 …………流星、…Aちゃんも、……こんなとこでなにしてんねん 』


崇裕くんの声は少し震えていて、顔は如実に歪められていた。……そんな崇裕くんの姿に、胸が締めつけられる。



崇裕くんの告白に答えていないのに、崇裕くんのキスは拒んだのに……


色々なことが頭の中を駆け巡って、声が出なくなる。答えられなくなる。





……崇裕くんから逃げるみたいに俯いた私と違って、流星ははっきりと答えた。




青『 ………Aに告白した 』


紫『 ………は?』


青『 俺はAが好き。せやから告白した。……それだけやけど?』


紫『 ………………………だからって、キスしてええとは限らんやろ 』




天然な流星と、少しあほな崇裕くんの会話は、いつもふわふわしている。…だけど、今は違う。



なんだか2人共、お互いを探り合っているような口調で、いまにも喧嘩が始まってしまいそうで。



……心配になって顔を上げると、崇裕くんと目が合った。


気まずくって目を逸らそうとすると Aちゃん って崇裕くんに名前を呼ばれて。







「 ……なに…?」


結局私は、崇裕くんから目を逸らすことはできなかった。


返事をした時に合った崇裕くんの目は、今までに見たことがないぐらい冷たくて。









紫『 ……俺はAちゃんが好きって、言うたやんな?……Aちゃんの初めては俺がもらいたいって、約束したやろ?』




責めるような崇裕くんの声色が怖くて、……悲しくて。



今私は崇裕くんを傷つけてしまっているんだって、こっちまで辛くなる。






「 ……………………ごめんなさい… 」



小さくなる私を庇うように、今度は流星が口を開いた。







青『 …それってどうせ、Aが陲舛磴鵑竜せちに応えられたら、の話やろ?まだ答え出せてへんAのこと、責めてどうすんねん 』


紫『 ……流星には関係ないやろ 』


青『 あるに決まってるやろ、俺もAが好きなんやから 』


「 …流星…… 」



顔を歪める崇裕くんも、私を庇ってくれている流星も、私は傷つけてしまっている。………私ってほんとに、最低だ。

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ぽっぴん(プロフ) - ポチャ桐子さん» お優しい言葉をかけていただけるだけで救いになります( ; ; )本当にありがとうございます…! (2018年7月11日 19時) (レス) id: a5448099dd (このIDを非表示/違反報告)
ポチャ桐子(プロフ) - 大変でしたね、こんな言葉だけじゃ何の助けにもならないけど頑張って下さいね、ずっと応援しています。 (2018年7月11日 8時) (レス) id: bb8d77dd99 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - ですよね!私も隅に行きます笑 (2018年6月9日 23時) (レス) id: fcaac9151c (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - 私、今大学生なんですけど、高校の頃、ぽっぴんさんと同じこと思ってました。 (2018年6月8日 22時) (レス) id: 61a68463b3 (このIDを非表示/違反報告)
ぽっぴん(プロフ) - みなみさん» ほんとですかありがとうございます!( 笑 ) (2018年6月8日 22時) (レス) id: a5448099dd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぽっぴん | 作成日時:2018年5月18日 19時

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