検索窓
今日:11 hit、昨日:4 hit、合計:396,268 hit

#162 ページ15

「 ………………答えらんない… 」



私は小さな声でそう言って、流星の真剣な目から逃げるように俯いた。





青『 ……A… 』


「 …流星が私を好きって言ってくれるのは、ほんとに嬉しいの…!……だけど、自分が流星のことをどう思ってるのかが、まだわかんない… 」




私の名前を呼ぶ流星の声が、ひどく悲しそうで。


そんな声を聞いてしまったからか、私は言い訳するみたいに早口でそう言った。






青『 ………ならまだ、希望は持っててもええの?』


「 …… 」


青『 …………絶対、Aのこと振り向かせてみせるから 』




私は、崇裕くんの気持ちにも答えを出せていないのに。


流星に希望を持たせるようなこと、しても良いのかな……





そんなことを考えていると、頬に添えられていた手が離れて。


長くて、だけど意外とごつごつとした男らしい流星の指が、私の顎を掬った。




俯いていた私の顔が上げられて、優しく微笑んだ流星と目が合う。







「 …………………りゅう、」



名前を最後まで呼べなかったのは、………………流星の唇に、唇を塞がれてしまったから。






流星の行動に、初めてのキスに、驚き戸惑ってしまった私は、身体も思考回路も止まってしまって。


流星にキスされた って頭のどこかで冷静に考える反面、流星を突き飛ばすことなんてできなかった。







青『 …………………ごめん 』


「 …なんで…… 」



初めては大事にした方が良い って、そう言ってくれたのは、流星なのに。


その流星に、呆気なく、初めてのキスを奪われてしまった。







青『 ……Aの初めてが俺以外に奪われるって考えたら、なんか、無理やった 』


「 …… 」


青『 ダサくてごめん 』




流星はそう言うと、片手を私の後頭部に回し、そのまま、自分の方へ引き寄せた。





もう初めてを奪われてしまったからか、なんだかどうでも良くなって。


抵抗をしようともしなかった私と、流星の唇がまた、重なった。





………………そんな時に玄関のドアが開いて、


『 ただいま〜、……………………え…?』


流星越しに目が合ったのは、崇裕くんだった。

#163→←#161



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (326 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1912人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ぽっぴん(プロフ) - ポチャ桐子さん» お優しい言葉をかけていただけるだけで救いになります( ; ; )本当にありがとうございます…! (2018年7月11日 19時) (レス) id: a5448099dd (このIDを非表示/違反報告)
ポチャ桐子(プロフ) - 大変でしたね、こんな言葉だけじゃ何の助けにもならないけど頑張って下さいね、ずっと応援しています。 (2018年7月11日 8時) (レス) id: bb8d77dd99 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - ですよね!私も隅に行きます笑 (2018年6月9日 23時) (レス) id: fcaac9151c (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - 私、今大学生なんですけど、高校の頃、ぽっぴんさんと同じこと思ってました。 (2018年6月8日 22時) (レス) id: 61a68463b3 (このIDを非表示/違反報告)
ぽっぴん(プロフ) - みなみさん» ほんとですかありがとうございます!( 笑 ) (2018年6月8日 22時) (レス) id: a5448099dd (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ぽっぴん | 作成日時:2018年5月18日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。