アン・コワン・アンソレイエ【 虹 】３

＃１４３ ページ45

side：崇裕









純粋に、すごいと思った。



俺は 重い過去やないと思う って最初に言うた。……せやけど、わかってる。俺の過去が重いっていうのは。



今まで過去のことを話した人の反応を思い出せば、そんなこと、とっくのとうに気づいてた。






せやけど、今まで他の６人の過去も受け止めてきとるAちゃんに無理させたくなくて、わざとそう言った。




それやのに……、全員分の過去を聞いてしんどいはずなのに、Aちゃんは俺に ありがとね って言うてきた。


まさかお礼を言われるなんて、思ってないやんか。寧ろお礼に言わなあかんのは、話を聞いてもらった俺のはずやのに。






全員のことを、過去を、ちゃんと聞いて真剣に考えてくれるAちゃんは、ほんまにすごいと思う。



………せやけどな、Aちゃん。








紫『 俺はちょっと、心配やで？』


頭に手を置いて顔を覗き込むと、Aちゃんは意味わからへんって言うみたいに え？なにが？って首を傾げてる。





紫『 Aちゃんが俺らの過去を聞いてくれるのは嬉しい。自分のことみたいに真剣に考えてくれるのはほんまに助かる 』


「 うん… 」


紫『 せやけど、それでAちゃんにもし無理させてるんやったら、それは全然嬉しくないし、助かりもせん、寧ろ心配や 』





Aちゃんが普段俺らの前で笑ってるのは、心からの笑顔なんやろか。



もし、俺らの過去のせいてでしんどい思いを何回もさせて無理に笑わせてるんやったら………俺は、それが心配やねん。







「 大丈夫だよ 」







俺の心配は、Aちゃんの優しい笑顔で、いくらか吹き飛ばされてしもうた。

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