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「 ………ごめん、ね… 」
紫『 別に、謝らんでええから。謝ってほしいわけやない 』
「 でも、私のこと気に入らないんじゃ…… 」
私の言葉に、崇裕くんは ちゃうよ、全然ちゃう って首を横に振る。
紫『 わからへんかっただけ。みんながAちゃんに心許してく理由が。……せやけどさ 』
崇裕くんが掴んでいた手首を引っ張ってきて、私は身体を起こせた。
こうして向かい合って座ると、崇裕くんとの距離の近さに、やっぱりどきどきが止まらなくなってくる。
紫『 ……話してみたら、わかるんちゃうかなって思って 』
「 …… 」
紫『 ………………俺の過去、聞いてほしいねん、Aちゃんに 』
「 ……良いの?」
私の確認に少し迷ったような素振りを見せた後、崇裕くんは小さく頷いた。
紫『 俺だけで抱え込んどくほど、重い過去やないと思うし 』
「 …… 」
紫『 それに、話聞いてみたら、もう俺以外みんなの過去聞いてるみたいやん?』
「…うん、まあそうだね…… 」
紫『 なら、俺もちゃんと話さなあかんやろ。…みんな言うてるのに俺だけ隠しとくんは、筋が通ってへんかなって思うから 』
「 ……崇裕くん…… 」
紫『 それに、ちゃんと知りたいねん。…みんながAちゃんに心許して過去を話す理由を 』
私の目を真っ直ぐに見つめてくる崇裕くんの目からは、さっきまで少しあった迷いは感じられなかった。
「 崇裕くんが望んだ答えなんて出ないかもしれない。……それでも、良いの?」
私に過去を話すということは、昔の傷を再び開いて触れるということだ。痛くないはずがない。
当時の気持ちも思い出して、きっと辛くなると思うんだ。
そんなことまでやっても、もしかしたら崇裕くんは理由を見つけられないかもしれない。私だって、わかってないんだから。
………それでも崇裕くんは、私に過去を話してくれるの?
紫『 ………聞いてほしいねん、Aちゃんに 』
やっぱり、崇裕くんから迷いは感じられない。
なら私も、迷いや邪念は振り払って、崇裕くんの話をしっかり聞かなければならない。
「 …………なら、良いよ 」
頷いてみせると、笑った崇裕くんは少し、安心しているようだった。
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ひなこ - 初めまして!とても面白いです!シゲが出てくる度にドキドキキュンキュンしてます! (2021年8月2日 14時) (レス) id: c6b0eb0aa4 (このIDを非表示/違反報告)
ぽっぴん(プロフ) - Yukoさん» コメントありがとうございます〜〜!崇裕くんのことたくさん出しちゃいました!( 笑 ) もうお言葉が嬉しいものばかりでほんとに恐縮です…ありがとうございます…!これからもよろしくお願いします! (2018年5月10日 0時) (レス) id: a5448099dd (このIDを非表示/違反報告)
Yuko(プロフ) - はじめまして。紫担の裕子です。濱ちゃんが登場してきて、ドキドキしながら読んでいます。更新が待ち遠しくて、たまりません。何度も読み返してキュンキュンしています。応援してます。頑張ってください!乱文失礼しました。 (2018年5月6日 16時) (レス) id: 326d509d03 (このIDを非表示/違反報告)
ぽっぴん(プロフ) - 紫春さん» コメントありがとうございます!え!!担当全く同じですよ!私もにのしげ担!!お仲間ですね!すごい!!!なかなか出会わないので貴重です…!これかもよろしくお願いいたします! (2018年4月30日 0時) (レス) id: a5448099dd (このIDを非表示/違反報告)
紫春 - いつも更新楽しみにしてます!!!この話が大好きで、毎日更新待ってます!作者さんはちなみにニノと重岡担ですか?私は二人が担当なので同じだとしたらものすごく嬉しいです!これからも楽しみにしています!! (2018年4月29日 6時) (レス) id: 8db4ba7a0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽっぴん | 作成日時:2018年4月20日 20時