アン・コワン・アンソレイエ【 虹 】３

＃１０２ ページ4

side：A









「 あ〜、やっと帰ってきた感じ 」


私の言葉に隣を歩く淳太くんが そうやな って頷く。



駅を出た私達は、シェアハウスに向かって歩いている。見慣れた街並みと、隣にいる淳太くんの存在がなんだか落ち着く。






「 ……私さ 」



話が途切れて、なんとなく言葉を発する。


ん？とこちらを見た淳太くんの声は優しくて、こうやって話を聞いてくれる淳太くんの大人びた優しさは心地良い。








「 シェアハウスに来た時は、みんながそれぞれ過去を抱えてるなんて思ってなかったの。…高校生だけでシェアハウスしてるってのは不思議だったけど 」




そっか って頷いた淳太くんは、歩きながら私の肩をぽんぽんと叩いた。



黄『 みんなの過去をちゃんと聞いて受け入れてくれてるAは、すごいんやで 』



突然淳太くんに褒められたことに面食らって へ？と変な声が出る。




黄『 ってかそもそも、それぞれ抱えてる過去をAに話そうとしたのもすごいな。…そんだけ、Aのこと信頼してるってことやろうし 』


「 そんなことないと思うけど…… 」





私がすごいわけじゃない。きっと自分の中でたくさん葛藤して迷っただろうに、そういうのを乗り越えて話してくれたみんながすごいんだって、私は思う。





黄『 せやから俺もさ 』



顔を上げると、淳太くんのくりっとした大きな目と目が合う。



初めて見た時から印象的だった、淳太くんの目。




そのきれいな目に、なんだか吸い込まれそうになる。









黄『 ………Aに、俺の過去のこと聞いてもらいたいって、思ってるんやけど 』

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