アン・コワン・アンソレイエ【 虹 】３

＃１２８ ページ30

青『 ちょい、はよ食べようや、腹減った 』



望と私のやり取りを黙って見ていた流星が、堪りかねたように口を挟んでくる。




「 …あ、ごめんごめん、早く食べよ 」


緑『 じゃ、いただきます 』



手を合わせた神ちゃんに倣って、私達も いただきます と言ってスプーンを手に取る。



神ちゃんが作ったクリームシチューを１口食べたみんなは やっぱ美味いなあ！って感心してる。



私もふーふーして１口食べる。予想外の味に 美味しい！って思わず大きな声を出してしまう。





緑『 んは、良かった 』


そう言ってにこにこ笑う神ちゃんは、どこか照れ臭そう。




黄『 その感じやと全部食べられそうやな 』


橙『 Aの食欲異常やからな 』


「 ………神ちゃんの料理美味しいんだもん。ってか、食欲に関しては照史くんに言われたくない 」





そんな感じで、みんなでわいわいと騒ぎながらご飯を食べる。


この時間が、私はなによりも楽しくて、幸せだ。





桃『 流星この前、また携帯なくしてさ 』


赤『 はあ？またかいな 』


青『 いや、ちゃうねん、聞いて？』



みんな関西人だからか、話は尽きることないし、トークは面白いから聞いてるのが面白い。


そんな話に笑いながら、猫舌の私は熱々のクリームシチューと戦う。




スプーンで掬ったクリームシチューをふーふーしていると 可愛ええなあ って声が隣から聞こえた。



思わず顔を上げると、頬杖をついた崇裕くんと目が合う。






「 …ん？崇裕くん、なんか言った？」


紫『 言った言った、可愛ええなあって 』


「 聞き間違いじゃなかった。………ね、なにが可愛いの？…あ、あの子のこと？」




点いてたテレビに出てる最近人気の可愛い女優さんを指差すと、崇裕くんは ちゃうちゃう って首を横に振った。








紫『 Aちゃんが可愛ええなあって、素直に思っただけ 』



優しく細められた目と目が合うと放り出された崇裕くんの言葉に、私は手にしたスプーンを落としそうになった。

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