アン・コワン・アンソレイエ【 虹 】３

＃１１２ ページ14

赤『 Aが風邪引くとは思わんかった 』



そう言いながら、大ちゃんはけらけ笑ってる。


心配してる？って聞いたら 別に心配はしてない って薄情な答えが返ってきた。





赤『 Aでも風邪引くんやなあ 』


「 ……でもってなに、でもって 」


赤『 あ〜、いや、……ばかは風邪引かんとかなんとか……、痛っ！』


「 …しんどいんだからあんま変なこと言わないで…！」



ばしっと肩を叩くと、大ちゃんは大袈裟にリアクションをとって。



そんな大ちゃんを睨みながら、がらがらの声で文句を言うと、


赤『 声ひどすぎるやろ 笑 』


ってまた目の下に笑窪を作って笑われたけど、それでもすぐに、大ちゃんは優しく微笑んだ。





赤『 ま、そんだけ文句言えるなら大丈夫やろ、すぐに治るって 』



急に優しいこと言うの、反応に困るからほんとにやめてほしい。





「 照史くんは？」


赤『 Aと一緒に学校サボるんや〜って言うてたで？…自分の部屋で着替えるんちゃうん 』


「 そっか 」


赤『 照史な、学校サボるとかあほちゃう？って淳太に怒られてたで 』




やっぱり、照史くんに迷惑かけちゃってる……


淳太くんから見ても、私なんかのために照史くんまで学校を休むのはおかしいってことだよね……




なんだか情けなくて俯いた時、


橙『 ちょいしげ、お前それ言うなや〜 』


っていう照史くんの声が聞こえてきた。




顔を上げると、ドアのところに照史くんが立っていた。






赤『 ごめんごめん。……ほんなら俺、そろそろ学校行ってくるわ 』


大ちゃんは はよ治せよ って私の頭をぽんっとして、照史くんから逃げるように部屋から出ていった。




騒がしいやつやなあ って笑ってる照史くんを見て、また申し訳なさが募る。


私が風邪引いたぐらいで照史くんに学校を休ませるって、ほんとに私、迷惑かけすぎでしょ……。








橙『 ほらもう、そういう顔するから言わんでほしかったのに 』



制服から着替えて部屋着になっていた照史くんが、困ったように笑いながらこちらに来て、さっきまで大ちゃんが座っていた丸椅子に腰を下ろした。

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