アン・コワン・アンソレイエ【 虹 】３

＃１１０ ページ12

ううう、しんどい……



身体中しんどくて、頭も喉も痛い。


風邪引いちゃったんだな ってすぐにわかったけれど、どこか認めたくない。


認めてしまったら、余計にしんどくなってしまうような気がするから。





セットしていたアラームが部屋中に鳴り響き、ベッドから手を出して止めた。



「 …はあ…… 」


神ちゃんはもう起きて、朝ごはんの準備を始めてると思う。…さっき、静かに部屋を出る音や階段を下りる音が聞こえた。


神ちゃんを手伝うために起きなきゃ って思うのに、身体が言うことを聞いてくれない。




…昨日の夜、淳太くんと共に家に帰って神ちゃんが作っておいてくれた晩ごはんを２人で食べた私は、お風呂に入ってすぐに寝た。………疲れて髪乾かさずに寝ちゃったのが悪かったのかな…





布団に潜り込むと、いつの間にかまた、眠気に吸い込まれていた。




-




『 ……おーい、A〜 』


誰かに名前を呼ばれてる気がして。誰かに肩を揺すられてる気がして。




「 …ん…… 」


ゆっくり目を開けると あ、起きた って呟いた照史くんと目が合った。




「 ……あきと……くん… 」


橙『 …自分、声ガラッガラやで 笑 』



笑いながら聞いてくる照史くんに、自分でも笑ってしまう。…今自分の声聞いたけど、ほんとにひどいな。





橙『 どした？もう朝やで？』


「 ん〜…… 」


橙『 ………ちょっとごめんな 』



きっと熱があるんだろうな。頭が回らなくてはっきりと答えられない私に、照史くんは一言断っておでこに手を置いてきた。


むちっとした照史くんの手の柔らかさと程良い温かさに、なんだか落ち着く。





橙『 ……熱いな。待ってて、体温計持ってくるから 』



照史くんは私の前髪を直しながらそう言って、部屋からぱたぱたと出ていった。

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