アン・コワン・アンソレイエ【 虹 】２

＃５７ ページ8

翌朝、学校へ行く準備を整えて１階に行くと、神ちゃんは既にキッチンに立っていた。




ええ、私これでも頑張って早起きした方なんだけどな……


神ちゃんはもう制服に着替えていて、髪もいつものようにばっちりセットされている。







緑『 お、Aやん、おはよ 』


キッチンに入った私に気づいた神ちゃんが微笑んでくれたから おはよ と返して隣に立つ。





緑『 なんや、早起きやなあ 』


「 朝ごはん作ろうと思って。……神ちゃんの方が早起きじゃん 」




そう答え、シャツを捲って手を洗う。




緑『 手伝ってくれるん？』


「 うん、そのために起きたんだし 」


緑『 んは、助かるわ 』



私の頭を撫でてくれた神ちゃんの手は、意外と男らしくて大きかった。






「 なにすれば良い？」


緑『 今日は和食にするから、冷蔵庫から鮭取り出して焼いてくれる？俺はお味噌汁作るから 』


「 ん、わかった 」




どうやらまだ朝ごはん作りは始めたばっかりみたいで、私は頷いて神ちゃんの指示に従った。









緑『 Aさあ 』


「 ん？」



鮭を焼いていると、隣でお味噌汁を作っている神ちゃんに名前を呼ばれて。



顔を上げると結構近くに神ちゃんがいて、少し焦る。




緑『 しげに言われたんやろ？大ちゃんって呼んでって 』



にやにやと笑う神ちゃんに、つられて笑ってしまう。




「 本人はばれたらだるいとか言ってたけと、もう既にばれちゃってるんだね 」


緑『 いや、わかるやろ、普通に。他のみんなも気づいてるで？』


「 やっぱそうだよねぇ 」



大ちゃんはわかりやすい人なんだな って思うと、なんだか笑えてくる。

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