アン・コワン・アンソレイエ【 虹 】２

＃９７ ページ48

黄『 お、あそこ空いてるで、座ろ 』


「 ラッキーだね 」



帰りの電車に乗り込んだ私達は、偶然空いてる席を見つけて、並んで座った。それと同時に、電車が動き始める。






黄『 昨日、流星とちゃんと話せたん？』



左に座った淳太くんの、不意な質問に少しびっくりしながらも うん と頷く。




「 流星が女の子と遊ぶなんて嫌だって言ったら、できるだけ減らすって言ってくれた 」


黄『 …Aから言われたんなら、流星も改めるやろな 』


「 ん？なんで？」


黄『 いや、なんとなく？』





私が なにそれ って笑いながら言うと わからへん って淳太くんもつられたように笑う。


最初は淳太くんと一緒に帰るなんて初めてだから少し緊張してたけど、それは淳太くんの優しさや話しやすさで、どこかに行ってしまった。



「 …私、流星がああいう人だって知った時は驚いたし、流星のこと信じられなくなったりもしたんだけど……、流星が私にくれた言葉も優しさも、全部うそには見えないから。…だから、私が見たままの流星を信じていこうって、そう思えたの 」



私の言葉に そっか、なら良かった って淳太くんは微笑む。




話が途切れて、私達の間に沈黙が流れる。だけど気まずいと思わないのは、なんでなんだろう。




シートに背中を沈めると、一気に眠気に襲われる。


電車の心地良い揺れも、程良く効いた暖房も、全てが私を眠りに誘う。





……やっぱり、ちゃんと寝るのは大事だなあ……。そんなことを思っている間に、気づけば視界が暗くなる。



目を開けなきゃ って思うけど、眠さで下がってくる瞼の力に勝てそうにない。








誰かの手が頭に置かれ、優しく引っ張られたところで、私は眠気と闘うことを諦め、少しの優しい気持ちと共に、暗闇に吸い込まれた。

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