アン・コワン・アンソレイエ【 虹 】２

＃９６ ページ47

「 ふぁあ〜〜…… 」


黄『 でっかい欠伸やな 笑 』





隣を歩く淳太くんの言葉に、慌てて口を塞ぐ。




黄『 いや、絶対遅いやろ 笑 』


「 …私、男子の前でなんて姿を晒してるんだ…… 」


黄『 口開きすぎやで、めっちゃぶさいくやった 』




ちょっと！ひどい！って肩を叩くと 冗談やって！ごめん！って淳太くんは言うけど、笑ってるから絶対許してあげない。






黄『 なに、寝不足とか？』


「 ん〜……流星の帰り待ってたら寝るの遅くなっちゃってさ… 」


黄『 あ〜、…Aが寝坊したから神ちゃんが朝ごはん１人で作ってたんやな 』




そういうこと って頷いて淳太くんを見上げる。……ちなみに今は、下校中です。



寝不足だった私は、授業中にも寝てしまって。


それを隣の席の神ちゃんが何気なく淳太くんにメッセージで報告すると、帰りのHRが終わると同時に、淳太くんが教室にやって来た。






黄『 授業中寝てたみたいやから、説教な 』


「 なんでそれ……！」


緑『 A、ごめんな 』


「 …神ちゃん絶対許さないから……！」


黄『 ほら、行くで 』





そんなこんなで、淳太くんに腕を引っ張られながら学校を出て帰路についた。





学校が見えなくなると、淳太くんは私の腕を掴んでいた手を離して、


黄『 ………ほんまはAと一緒に帰りたかっただけやねん、…引っ張ってごめんな 』


って、恥ずかしそうに謝ってきた。……あの姿、学校にいる淳太くんファンの女の子に見せてあげたかったって本気で思う。






私は今の学校に来て日が浅いから知らなかったんだけど、淳太くんと崇裕くんと照史くん、それに大ちゃんと神ちゃんと流星のシェアハウスのメンバーは、校内でアイドル並みに人気らしい。


望も望で １年にめちゃくちゃ高身長なイケメンがいる って人気が出てきているみたい。





確かに、みんなイケメンだもんなあ……モテないわけがない。





シェアハウスのみんなは人気なのに、なんだか私だけ、置いてけぼりになってる気分だ。……まあ、私がみんなみたいに人気になるなんてこと、死んでもありえないんだけど。





黄『 …あ、そういえば俺の周りでな、２年の転校生が可愛いって噂されてんで。……Aのことちゃう？笑 』


「 ……ちょっと笑っちゃってるじゃん 」





でもやっぱり、誰かが私を見てくれているという事実は、どこか擽ったくて、嬉しい。

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