アン・コワン・アンソレイエ【 虹 】２

＃９５ ページ46

青『 ……A 』




もう自分の部屋戻った方がええよ、……流星は私をしばらく抱きしめた後、寂しそうな顔でそう言った。



その顔を見ていられなかったけど、私はなにも言わずに うん と頷いた。




そして階段を上ろうとすると、流星に呼び止められた。



振り返ると、優しく微笑んだ流星と目が合う。





青『 Aが女やのにどうでもええって思わんのは多分、……大事やからやと思うねん 』


「 …私、が……？」




私が、大事……？



戸惑いながら首を傾げた私に うん と流星は頷く。






「 ……なんで、私なんかが……… 」


大事だなんて流星に言ってもらえると思ってなくて、普通に驚く。





青『 ……なんでって聞かれてもわからへんしなあ… 』


流星は困ったように笑いながら、私の方に近づいてきた。




そして、私の頬を大きな手で挟んできた。



片手をポケットに突っ込んで微笑む流星はなんだか余裕そうで。


男子にこんなことされた経験なんてないから私はどきどきしまくっているというのに……。



やっぱり流星は、経験値が違うんだろうな……。






青『 急に変なこと言うてごめんな 』


「 いや、……大丈夫 」


青『 こんな遅くまで付き合ってもらってありがと、おやすみ 』




そう言って頬から手を離すと、流星は私の頭をぽんっとして背を向けた。



慌てて 流星！と呼び止める。






青『 ん？どした 』


「 ……私はあんまり、流星が女の子と遊ぶところなんて、見たくもないし想像したくもない。…だから、できるだけ減らしてほしいっていうか………いや、付き合ってもないのにこんなこと言うの、ほんとにおかしいんだけどさ…！」





しどろもどろになる私を、流星はふっと笑って。



わかった、できるだけ減らす って頷いた。







青『 Aは大事、やからな 』


「 …流星…… 」


青『 じゃ、今度こそおやすみ 』




流星は私の肩をぽんっと叩いて 風呂入ってくるわ って脱衣場の方へ行ってしまった。

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