アン・コワン・アンソレイエ【 虹 】２

＃８２ ページ33

「 じゃあ、私は頑張らなくちゃね 」


そう言ってガッツポーズを作ってみせると、薄く笑いながら え？って首を傾げた望の視線がこちらに向けられる。


……無理して笑っているような感じがして、見てられない。





「 望が信じられる女になれるように、私、頑張るから！」


桃『 …………なんで？』


「 なんでって…………信じられない女の子と一緒に暮らすの、嫌でしょ？」


桃『 …あ〜、そういうこと 』


「 ……え、私変なこと言っちゃった…？」




望がぱっとした返事をしないから慌ててそう聞くと、望は 違う違う って笑いながら手をぱたぱたと横に振った。





桃『 …ただ、無自覚って怖いな〜って思っただけ 』


「 …ん？どういうこと？」


桃『 いや、なんでもない 』



そう言って立ち上がった望は、まだ笑っている。……一体なんのことを言ってるんだ？






桃『 こんな遅くまで付き合ってもらってごめんな。……もうそろそろ寝よ、眠いやろ 』


「 いや、全然大丈夫だけどさ…… 」



私がソファーから立ち上がると 消すで って望の声でリビングの電気が消される。





「 うわ、真っ暗 」


桃『 当たり前やろ 笑 』


「 ちょっと階段怖いから、腕貸して…！」


桃『 いや、大丈夫やろ 笑 』



階段の手前で望の細い腕を掴むと、彼はけらけらと笑った。


それでもぎゅっと掴んでいると、視界がぱっと明るくなる。




桃『 一応、階段も電気点くようになってるんやで 』


「 なんだ、……そうだったんだ 」



ほっと息を吐き出して望の腕から手を離すと でも ってその手を掴まれる。



……私の手を掴んだ大きな温もりは、望しかいないわけで。



びっくりしながら望を見上げると、とんでもなく優しい表情をした望と目が合った。






「 ……どうした…？」


桃『 今は俺が繋いどきたいから繋いでて 』


「 ……我が儘ですね〜 」


桃『 うっさ 笑 』




望は笑うと、私の手を握る手に力を込めてきて。……驚きながらもそれに応えるように私も力を込めると、望は少し、嬉しそうに微笑んだ。





手を繋いだまま望と階段を上がったからか、……私の心臓はどきどきとうるさかった。

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