アン・コワン・アンソレイエ【 虹 】２

＃７９ ページ30

あとは望が全部食べて良いよ って言うと、望は嬉しそうにプリンを完食した。



隣でその様子を見ながら 可愛い とか思っちゃったのは、望が歳下だからかな……。





桃『 美味かった〜 』


満足そうに笑ってお腹を摩っている時 望ってさ と口を開く。



ん？って首を傾げた望の目は、女の私でも思うぐらいきれいだ。




「 関節キスとか、気にしないタイプなの？」


桃『 関節キス？………ああ〜 』


私の問いに、自分と私が関節キスをしながらプリンを食べたことを思い出したように望は声を上げた。





桃『 あ、もしかして嫌やった……？』


「 違う違う！私は全然嫌じゃなかったんだけど、気になったっていうか…… 」



あんな可愛らしい目で 嫌やった？ って聞かれて 嫌でした って言えるわけないよ。…実際、別に嫌ではなかったし……。



良かったぁ〜 って胸を撫で下ろす望は、やっぱり可愛らしい。




桃『 俺は、Aさんやから気にならんかっただけやけど 』


「 なんじゃそりゃ 笑 」



私が笑うと、望も笑ってくれて。なんだかこういう時間が幸せだなって思う。






桃『 ゴミ捨ててくる 』


「 ん、ありがとう 」



キッチンに向かう望の背中を見送って、ふと考える。


関節キスを気にしないほど、望は私のことを女として見てないってことなのかな……？


まあ、見られてても困るんだけど………いやでも、私だって一応女だしな…。




なんてどうでも良いことを考えていると、帰って来た望が私の隣に座った。






桃『 ……あの喧嘩した後な、流星に聞いた 』



いきなり話が始まったことにびっくりしながら うん と頷く。



確かに、流星が望の様子見に行ってたな……。





桃『 Aさんが俺にひどいこと言ってもうたって落ち込んでたって 』


「 あー、……うん。……流星も言ってたよ、多分望も今頃反省してるやろ〜って 」


桃『 …流星達にはなんでもお見通しやねんなあ 』



軽く笑った望は、前に向けていた目を、不意に私の方に向けた。






桃『 ………Aさんに、大事な話聞いてもらいたいんやけど 』


望のその言葉で、空気がピンッと張ったような感じがした。



桃『 …俺の、過去の話 』

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