アン・コワン・アンソレイエ【 虹 】２

＃７８ ページ29

side：A









私が帰らない間に、みんなはもうお風呂に入っていたらしくて。


みんなで晩ごはんを食べた後、私は１番最後にお風呂に入った。……思えばこのシェアハウスに来てから、初めてのことかもしれない。




リビングに戻ると、小さなボリュームでテレビが点いていて、……ソファーには、望が座っていた。





桃『 あ、Aさん、こっち 』


私に気づいた望が、テレビの電源を切って、自分の隣をとんとんと叩く。


なんだろう…？と思いながら、私は望の隣に腰を下ろした。





桃『 これ、一緒に食べよ 』


望がそう言って見せてきたのは、私が買ってきたプリンだった。




「 いや、望のために頑張って探してきたんだから、望が全部食べなよ 」


桃『 その苦労も込みで食べたら絶対美味いから 』


「 でも… 」


桃『 俺は、Aさんと一緒に食べたい 』



そんな真っ直ぐな目で見つめられたら、断れないじゃん……。


望はフタを開けると、スプーンでプリンを掬って近づけてきた。




桃『 ほい 』


「 こんな時間にプリン食べたら太っちゃう 笑 」


桃『 うるさねん 笑 』



大人しく、望がくれたプリンを食べる。……うん、やっぱり美味しい。





「 美味しい……！……ほら、望も早く食べな？」


桃『 はいはい 』


肩をばしばしと叩くと、望は笑いながらプリンを食べた。……待て待て、普通に関節キスしちゃってるけど、望は気にしないの…？






桃『 ん〜！美味い！これめっちゃ美味い！』


「 でしょでしょ！」


桃『 ほら、Aさんももう１口！』


「 アーンしてくれなくても自分で食べれるから！笑 」


桃『 ええから、ほら！』



望に圧されて、差し出されたプリンを仕方なく食べる。……いや、美味しんだけどさ、関節キスが気になって仕方ないよ……。






桃『 頑張って探した苦労思い出したら、もっと美味いやろ？』


「 うん、確かに 笑 」

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