アン・コワン・アンソレイエ【 虹 】２

＃７５ ページ26

side：望









桃『 ……はあ… 』


手分けして街中を探し回った。……せやけど、Aさんを見つけることはできひんかった。



泣きそうになりながら、とりあえずシェアハウスに向かう。……俺以外はみんなもうおって、せやけど、誰も明るい顔をしてへんかった。



より一層出てきそうになる涙を、ぐっと堪える。




もしかしたらAさんが帰ってこおへんのは、俺のせいかもしらん。


…俺が昨日、あんなに怒ってもうたから……




確かに俺のプリン食べたAさんにはものすごい腹立った。……けど、俺もプリンなんかであんなに怒ることはなかったやろうし、Aさんが言うようにプリンに名前書いてなかったのも悪かった。



Aさんが全部悪いわけやないのに、感情的になって一方的に責めてもうた……。




青『 …望も、見つけられへんかったか 』


流星の言葉に首を縦に振ると、�陲舛磴鵑�隣に来て背中を摩ってくれる。


多分みんな、俺が自分のこと責めてるの、気づいてるんやな……。



過去を知っているからこそ、神ちゃんも心配や。


さっきからずっと俯いてて、ズボンをぎゅっと握り締めてる。





黄『 …とりあえず、警察にでも行ってみる？』






警察 という単語に心臓がどきりと跳ねた時、


「 ただいま〜、…………え、全員いる、なにしてるの？」


俺らの心配とは裏腹な、呑気な声が聞こえてきた。









慌てて顔を上げると、レジ袋を片手に提げたAさんが立っていた。



全員集合してシェアハウスの前に立ち尽くしてる俺らを見て、ぽかんとした顔。





……なんかそれがAさんらしくて、ほっと息をついた。



隣の�陲舛磴鵑� 良かった… って安心したように呟いてる。





心配してたのになんでそんな呑気やねん！って怒るよりも、無事に帰ってきてくれて良かったっていう安心感の方が、俺らの中では大きかった。

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