あなたの笑顔の理由になりたい【青】 (ページ9)

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前に藤井くんは、興味のない人の名前は覚えるだけ無駄だって、そう言ってた。

藤井くんがそこまで冷たい人になってしまったのは、やっぱり、大切な存在を作ろうとしないという、防衛本能からなのかな。

翌朝の教室で、１人悶々と考えていると、

青『おはよ～』

気だるげな声と共に、後ろから軽く頭を叩かれた。

「痛っ」

振り返ると、藤井くんが眠そうな顔をして席についていた。

青『今日さ、めっちゃ暑ない？』

「いや、そりゃ夏だからね」

当たり前な藤井くんの言葉に私も当たり前な言葉を返した。

「 ……藤井くん、」

青『ん？』

私は座っていた椅子を反転させて、藤井くんと向き合った。

「 ……藤井くんの過去のこと、聞いたの」

私の言葉に、藤井くんはさっきまで眠そうにとろんとさせていた目を大きく見開いた。

青『誰から』

「 ……教えない」

急に冷たくなった藤井くんに、怯みそうになりながらもなんとか言葉を返した。

青『 ……神ちゃんやろ』

藤井くんは吐き捨てるように言うと、ため息をついた。

……ばれてる。

「神ちゃんは、悪くないのっ……あの、私が、無理やり聞いたことだらら…！」

こんなことで、神ちゃんと藤井くんの仲を切り裂くわけにはいかないから。

そのためには……、私が悪者になれば良い。

青『 ………それで？』

「 ……え」

青『話聞いて、どう思ったん？…軽蔑した？』

「するわけないっ…！」

藤井くんの言葉に慌てて首を横に振った。

軽蔑なんて、するわけない。

そこまで一途に誰かを想える藤井くんは、寧ろ、すごい。

青『なんで？ずっと死んだ元カノのこと忘れられてないんやで？気持ち悪いやろ？』

そう聞いてくる藤井くんは、なんだか投げやりだった。