あなたの笑顔の理由になりたい【青】 (ページ13)

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「え、藤井くんって来月誕生日なの？」

私の問いに、テーブルを挟んで向かい側に座る藤井くんは、ラーメンを頬張りながら頷いた。

青『うん、１８日』

「え、夏休み入っちゃってるじゃん…… 」

青『なんでAが落ち込んでんねん』

「だって、藤井くんの誕生日祝いたいけど、夏休み入っちゃったら会えるかどうかわかんないじゃん……。あ、プレゼント買わなきゃ！」

青『ええよ、プレゼントは別に。…Aは俺に、おめでとうって言うてくれればそれでええの』

「でも…… 」

青『プレゼントなんてもらっても、あとから苦しくなるだけやから』

藤井くんはそう言うと、手首に巻かれたミサンガを見遣った。

深く青い、海のような色をしたそのミサンガを、出会った時から藤井くんは身につけていた。

そのミサンガを見る顔は、すごく、辛そうで。

「 ……彼女さんから、もらったの…？」

１番聞きたくなかったはずなのに。

気づけば口が動いて、私は残酷な質問を彼にぶつけていた。

でも、彼の答えも、私にとってはもっと残酷で。

青『２年前の誕生日にくれてん。お金がなかったから手作りなんだ、ごめんねってあいつは謝ってきたけど、俺はこれが１番、嬉しかった』

思い出を語る藤井くんの顔は、穏やかで。

私の話をする時、藤井くんはこんな顔をしてくれるのかなって、胸が苦しくなった。

「 …そっか、大切にしてるんだね」

涙が出てきそうで、慌てて、ラーメンを口に掻き込んだ。

青『 ……Aにわざわざ話すようなことじゃなかったよな、ごめん』

藤井くんは短く謝ると、またラーメンを食べ始めた。