あなたの笑顔の理由になりたい【青】 (ページ1)

今日:6 hit、昨日:0 hit、合計:90,506 hit

１ページ1

私のクラスには、藤井流星という男の子がいる。

彼の存在は、高校の入学式で知った。

理由は簡単、周りの子達がイケメンだと騒いでいたから。

初めて見たのは、入学式が終わった後。

私が中学の頃仲良くなった神ちゃんと藤井流星が、話してたんだ。

ぼけっとした顔をしてるのに、その顔は、芸術品みたいに美しくて。

周りが彼のことをイケメンだという理由が、よくわかった。

「神ちゃんって、あの藤井流星って人と友達なの？」

その日、家が近い神ちゃんと一緒に帰りながら聞くと、

緑『いや、入学式始まる前にたまたま話して、仲良くなってん』

そう教えてくれた。

「へえー、…神ちゃんほんとに、人見知りじゃなくなってきてるね」

神ちゃんと初めて話した中１の夏、彼はなんだか性格的に尖ってて、近寄り難い雰囲気ばかりを出していた。

それでもたまたま話してみると、結構良いやつで感動したのを、今でも覚えている。

先生や部活の先輩とコミュニケーションを取るために、神ちゃんは悩みだったという人見知りを克服しようと色んな人にどんどん話しかけるようになって。

そしたら神ちゃんは、自然と友達が多くなって、顔も結構イケメンだから、モテ始めた。

誰とも関わろうとしない神ちゃんに最初に話しかけたのは私なのに…

中２の秋、どんどん大きくなっていく神ちゃんを見て、妙な嫉妬心が芽生えたのも、よく覚えてる。

かと言って、別に神ちゃんに恋心があったわけじゃない。

モテる神ちゃんはそれなりに彼女を作っていたし〝ただの友達〟という関係が、私達には心地良かった。

高校に行くなら誰か１人知り合いがいてほしい、と思って、神ちゃんが志望する高校と同じ高校を選んだ。

緑『んは、せやろ？』

そうやってドヤ顔を見せる神ちゃんは、いつもの神ちゃんだ。