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「 …は?なに言って、… 」
赤『 別れようって、言うてんねん 』
しげはそう言うと、コーヒーを1口飲んだ。
「 なんで?私達、もう付き合い始めて1年ぐらい経つんだよ?」
赤『 なんでって、理由はひとつしかないやん 』
「 …… 」
赤『 俺はAの中で、神ちゃんには勝たれへんから 』
「 …え?」
赤『 忘れさせたる、なんて言うたけど、無理やった 』
しげは、自嘲気味に笑う。
「 そんなこと、 『 あんねん 』
私の言葉を強く遮ったしげ。
「 ……っ 」
赤『 Aは多分、俺のこと好きになろうって努力してくれたはずや、Aは悪ない。
ただ、付き合う時にした約束を守ることが、俺にはできひんかっただけや 』
「 しげは悪くないよ…!私がずっと気持ち引きずってるのがいけないの…!」
赤『 神ちゃんのことは付き合い始めてこれぐらいやったら、智洋って呼んでたのにな。……俺のことはずっと、しげって呼んでるやんか 』
「 ……………ごめん 」
しげは手を伸ばして私の頭を優しく撫でると、コーヒー飲み干した。
赤『 ほな、今までありがとうな。明日からは会社の先輩後輩としてよろしくな 』
しげは笑うと、伝票を持って行ってしまった。
自分と私の分のお会計を済ませると、手を振って帰っていった。
……大切な人を、私は傷つけてしまった。
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作者名:ぽっぴん | 作成日時:2017年7月2日 0時