9-5.根 ページ5
剣城くんは何か返そうと口を開いた瞬間、朝のホームルーム開始を告げるチャイムが鳴った。
「みんな席についてー」
続いて担任の先生も教室に入ってくる。彼は扉の近くに突っ立っている剣城くんを見て「どうした？」と不思議そうな顔をしていた。
「……いえ」
そう言って剣城くんも自分の席についた。二人組もしぶしぶ自分の席に戻っていく。
それ以降、ときどき視線は感じたけれど、私から剣城くんのほうを見ることはできなかった。
.
昼休みはいつもならみんなで屋上に向かうのだが、今日はそうはいかなかった。教室を出たら見知った顔がいたからだ。
「あの、少し話せますか？」
彼女＿＿以前、剣城くんに告白したのなんだので一悶着あった子だ＿＿は申し訳なさそうな顔で立っていた。
「噂が広まってしまったのは、たぶん私のせいです。すみません」
彼女に連れられてサッカー棟近くのベンチにやってくるなり、彼女はそう言って頭を下げた。
噂が彼女のせいというのはどういうことだろう。共にやってきた剣城くんも面食らったような表情をしている。
「えっと……？」
「私が、剣城先輩に……振られたってことを友達に話してたんです。本当に仲の良い子にだけ。A先輩の名前も……出しました」
隣の様子を盗み見る。彼は少しだけ居心地が悪そうに下まぶたを動かした。
「その時に、同じクラスの子に聞かれてたんです。まさかこんなふうに噂になるなんて……ごめんなさい」
私は小さく「ああ」と納得の声をこぼした。
彼女は依然として罪悪感に苛まれた表情をしている。彼女にそのつもりがなかったことは本当だろう。
「謝らなくていいよ。あなたは悪くないし……」
「ね」と同意を求めて剣城くんのほうを見ると、彼は仕方がないと言った表情で頷いた。
「……すみません。ありがとうございます」
ここまで噂が大きく広まってしまったのは、ひとえに剣城くんが人気があるからだろう。二人ともサッカー部の部員であることもその要因のひとつだと思われる。
彼女は教室へ帰り、ベンチには私と剣城くんだけになった。
「しばらくすればおさまる」
彼の声色は呆れが滲んでいたが、怒っているふうではなかった。
「……そうだね」
そろそろ教室に戻らないと、お弁当を食べる時間がなくなってしまう。
私は彼に聞きたいことがあったのだが、冷静に考えればそれはすごく馬鹿げた質問に思えて、とうとう言葉にならなかった。
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春間(プロフ) - ミリアさん» 申し訳ないのですが、青天以外の小説を執筆する予定はありませんので、今回はご遠慮させていただきます。お誘いありがとうございました！ (2021年3月6日 19時) (
レス) id: 71c8355ca9 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - 一緒に合作しませんか？ (2021年3月6日 19時) (レス) id: e8a27bc902 (このIDを非表示/違反報告)
春間(プロフ) - ミリアさん» コメントありがとうございます！ 実はイナイレ以外のアニメにあまり詳しくなく……ちゃんと全話観たのはギャグマンガ日和やここはグリーン・ウッドです！ (2021年3月6日 16時) (レス) id: 71c8355ca9 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - 知ってるアニメは何ですか？ (2021年3月6日 13時) (レス) id: e8a27bc902 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春間 | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/april_hrm
作成日時：2021年2月20日 21時
