9-3.新しい技 ページ3
そんな噂がまことしやかに囁かれていようと、私たちには準決勝に向けて練習する以外の選択肢は無い。
今日も今日とて二人で河川敷に向かう。
先日から同じことの繰り返しだ。嫌でも気持ちが焦り、そのせいでシュートの精度は落ちる。平日はあまり自主練習の時間が取れないことも、焦りの原因の一つだ。
「少し休憩するぞ」
「うん……」
荒い呼吸を整えながらベンチに座った。吹き出る汗をタオルで拭う。日が暮れてきていても、最近では日中とほとんど気温が変わらない。
「……少しやり方を変えてみてもいいかもしれない」
「えっ？」
剣城くんは目元の汗を拭きながら言った。
「ツインブーストはボールを交互に蹴って、ボールにパワーを溜める技だ。そうじゃなく＿＿例えば同時にボールを蹴って、二人のパワーを一気に叩き込むのはどうだ」
「それいいと思う……！ やってみよう」
二人で並んで立ち、ボールは剣城くんの足元へ。ある程度助走があったほうが試合でもやりやすいだろうと彼が言ったからだ。
「力の込め方はツインブーストの時と同じだ。まずはただ同時に蹴ってみる。タイミングを合わせるぞ」
「わかった」
ドリブルする剣城くんを横目で確認しながら、ゴールに向かって走る。
「いくぞ」
「うん！」
私の右足が稲妻を、剣城くんの左足が炎をそれぞれ纏う。お互いのパワーがぶつかり合って一瞬目の前が白くなった。ボールは真っ直ぐゴールへと突き刺さり、ゴールネットを揺らした。
私は剣城くんと顔を見合わせた。
「……今の」
「良かったんじゃないか」
「うん、よかったと思う」
技としてはまだ改善が必要かもしれないが、確かに手応えがあった。
それに、タイミングも今のはほぼ完璧だった。一度ツインブーストを二人で練習しているから、タイミングを合わせることに慣れてきているのかもしれない。
その後も何度か二人でシュートを打ち、改善点は明日部員のみんなや円堂監督に相談することにしてその日は解散となった。
夏の日差しは日暮れ前がいっとう眩しく、堤防を歩く私たちの影は長く、長く、伸びていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 94人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
春間(プロフ) - ミリアさん» 申し訳ないのですが、青天以外の小説を執筆する予定はありませんので、今回はご遠慮させていただきます。お誘いありがとうございました！ (2021年3月6日 19時) (
レス) id: 71c8355ca9 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - 一緒に合作しませんか？ (2021年3月6日 19時) (レス) id: e8a27bc902 (このIDを非表示/違反報告)
春間(プロフ) - ミリアさん» コメントありがとうございます！ 実はイナイレ以外のアニメにあまり詳しくなく……ちゃんと全話観たのはギャグマンガ日和やここはグリーン・ウッドです！ (2021年3月6日 16時) (レス) id: 71c8355ca9 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - 知ってるアニメは何ですか？ (2021年3月6日 13時) (レス) id: e8a27bc902 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：春間 | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/april_hrm
作成日時：2021年2月20日 21時
