5-18.美貌の監督 ページ18
ベンチに戻るや否や、私は氷嚢を持った葵ちゃんに捕まった。バンパーにぶつけた左側頭部に、氷のゴツゴツとした感触。当てられた氷嚢の冷たさに身体が震えた。
「ぶつけたところ、大丈夫なの？」
「だ、大丈夫だよ」
「でも頭だよ！？ 何かあったら＿＿」
心配されていることをむず痒く思っていると、神童先輩からも「念のため病院に行った方がいいんじゃないか」と言われてしまった。
「見た目では何とも無くても、何か起こってるかもしれない。頭だけじゃなくて身体の方も」
「そう、ですね。わかりました」
.
ピンボールスタジアムは、通路までネオンの光に包まれていて、歓楽街や大人が集まるカジノやバーを彷彿とさせる。中学生は場違いな気がして何だか落ち着かない。
ドリンクを全て飲み干してしまった私は、周りの光景からやや浮いている自販機の前にいた。スポーツドリンクのボタンを押し、排出口に落ちてきたペッドボトルを取る。
「＿＿雷門のAさんだね」
「わっ！？」
突然背後から声をかけられ、びくりと身体が揺れた。振り返ると、スーツを着た髪の長い男性が立っていた。一瞬誰だろうと思ったが、すぐに合点がいった。
「驚かせてごめんね。僕は木戸川清修の監督の亜風炉照美だ」
相手ベンチに立っていた人だ。フィールドや雷門ベンチからは距離があったのでわからなかったが、近くで見ると華やかな顔立ちをしていることがわかる。男性にしては線が細い＿＿中性的と言えばいいのだろうか。
「先ほどの試合はありがとう。やはり雷門は強いね」
「あっ……こ、こちらこそ、ありがとうございました」
どうして木戸川清修の監督がこんなところに、そしてなぜ私に話しかけてきたのか。たまたま通りかかって声をかけてくれたのだろうか。円堂監督でさえ話す時は緊張するのに、他校の監督となると余計に緊張して声が震えた。大人と話すことに慣れていない。
「ところで……円堂くんはどこにいるかわかるかい？」
円堂監督に用があったらしい。この通路を先に進むと雷門の控え室なので、そこへ着く前に私に会ったということだ。
「監督は……あ、雷門の男子控え室にいると思います」
「わかった。ありがとう」
彼は控え室に向かう途中でこちらを振り返り、「君、素晴らしいシュートだったよ」と微笑んだ。
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春間(プロフ) - お褒めいただけて→褒めていただけてです。すみません。 (2020年10月18日 15時) (
レス) id: 71c8355ca9 (このIDを非表示/違反報告)
春間(プロフ) - 蒼乃さん» コメントありがとうございます！ 力を入れて書いているところをお褒めいただけて、本当に嬉しいです。励みになります！ (2020年10月18日 15時) (レス) id: 71c8355ca9 (このIDを非表示/違反報告)
蒼乃(プロフ) - 青天の霹靂、とても面白いです！原作後のお話というものをまったく見たことがなかったので新鮮な気持ちで読めました！1からお話を考えられていて、夢主ちゃんの初心者ならではの葛藤や努力する姿、試合の展開など描写が丁寧で尊敬です！これからも応援しています！ (2020年10月17日 15時) (レス) id: efefd3992b (このIDを非表示/違反報告)
春間(プロフ) - ねぐせさん» コメントありがとうございます！ 読んでいただけるだけで嬉しいのに、嬉しいお言葉までいただいて……感慨無量です；； 本当にありがとうございます。これからも頑張ります！ (2020年10月7日 22時) (レス) id: 71c8355ca9 (このIDを非表示/違反報告)
ねぐせ(プロフ) - それでも一歩一歩成長していることにようやく実感を持てて一安心の夢主ちゃん、そんなストーリーが既存キャラクターたちと上手く波長が合っていて、違和感なく気持ちよく読めました！これからも応援しております。長文失礼しました。 (2020年10月6日 12時) (レス) id: a583664816 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春間 | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/april_hrm
作成日時：2020年9月7日 13時
