10-15.全国大会決勝戦 ページ15
いつも通りの朝、いつも通りのランニング、ホーリーロードが始まってから今日まで、ずっと続けている。靴はもうすっかりボロボロで、雨の日に履いていると水が靴の中に入り込んでくる。
ランニングから戻ると、ユニフォームはすっかり乾いていた。家から着込んで、その上からジャージを羽織って雷門中に向かうのがいつものパターンだ。
朝のニュースでは、ホーリーロードの決勝戦について取り上げていた。まだ開場していないが、アマノミカドスタジアムの周りにはたくさんの人が集まっていた。
スポーツバッグにタオルやドリンク、着替えなどを詰め込めば準備は完璧だ。あとは雷門中に向かうだけ。
泣いても笑っても今日で最後。
しっかりと靴紐を結び、私は玄関の扉を開けた。
.
女子控え室で最後の確認と思い携帯を開くと、如月さんからメッセージが届いていた。
『決勝戦、スタジアムに観に行くよ！ 頑張って！』
文の最後にペンギンが旗を振って応援している絵文字がついていた。『がんばります！』と返し、電源を切って鞄の中にしまった。
試合開始の時間が迫ってきており、雷門中サッカー部がひとつの部屋に集まる。
澄み切った空気の中、天馬くんが一人ひとりの顔を見回して言った。
「いよいよ決勝戦だ。どんな相手かはわからないけど、実幡中がどんなサッカーをするのか、俺はワクワクしてる！ 絶対優勝しよう！」
いつになく、みんなの「おおっ！」という声が力んでいる。決勝戦を前にして、それぞれの覚悟が浮かび上がるような感覚だ。
天馬くんが話し終わると、ついにスタジアム入場の時間になった。
ばくばくとうるさい心臓をおさえていると、葵ちゃんが隣にやってきた。
「Aちゃん、すっごく緊張してるね」
「えっ」
「顔がガチガチ」
葵ちゃんは「仕方ないなぁ」と微笑んだ。そして私の背中をバシッと手のひらで叩く。
「ここまでやってきたんだもん！ Aちゃんなら絶対大丈夫！」
振り返ると、葵ちゃんは右手を握って親指を立てた。それに応えようと左腕を持ち上げれば、彼女がくれたミサンガが私を勇気づけるように揺れていた。
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春間(プロフ) - 匿名２号さん» コメントありがとうございます！ 面白いと言っていただけでとても嬉しいです。別作もよろしくお願いいたします！ (2022年3月25日 14時) (
レス) id: 71c8355ca9 (このIDを非表示/違反報告)
匿名２号(プロフ) - 面白くて時間を忘れて読んでました。必殺技の描写や試合運びなどわかりやすく表現されていてすごく参考になりました。ツインブースト打つくだりの話が特に好きです。素晴らしい作品をありがとうございました。アンソロの方も読みましたので別作も読んできます。 (2022年3月25日 8時) (レス) @page41 id: a481d4b51d (このIDを非表示/違反報告)
春間(プロフ) - むすぶさん» コメントありがとうございます！ 楽しんでいただけて何よりです。嬉しいお言葉、励みになります！ (2021年8月31日 10時) (レス) id: 65d4199637 (このIDを非表示/違反報告)
むすぶ(プロフ) - はじめまして。とてもとてもとても面白くて、最初から一気読みしました！この小説に出会えて本当に良かったです。続編のご予定は無いとのことですが、夢主ちゃんとサッカー部や剣城とのその後が読んでみたかったです…春間さんの小説をこれからも楽しみにしています…！ (2021年8月25日 19時) (レス) id: c2d0a2f182 (このIDを非表示/違反報告)
春間(プロフ) - mayaさん» コメントありがとうございます！ お褒めいただき光栄です。今後を読んでみたいというお言葉、とても嬉しいのですが、続編の予定はございません。申し訳ありません;; (2021年7月4日 16時) (レス) id: 71c8355ca9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春間 | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/april_hrm
作成日時：2021年3月14日 19時
