1-17.苦闘の末に ページ17
身体を無理やりひっくり返されるようにして目が覚めた。
何度か瞬きを繰り返すと視界が鮮明になってくる。真っ白な天井と、薬の独特な匂い。パリッとしたシーツ。恐らく保健室だ。
自分が眠っていたことに気付いて慌てて上体を起こしたが、目眩に負けてもう一度シーツの上に倒れた。
どうして保健室で寝かされているのだろう。私は入部テストを受けていたはずだ。松風くんの必殺シュートを止めようとして＿＿。
入部テスト。
私は目眩も構わず飛び起きて、カーテンを開ける。
デスクに向かっていた養護の先生と、ソファに座っている円堂さんが驚いた顔でこちらを見た。
「A、目が覚めたか！」
養護の先生は、焦る私を円堂さんの隣に座らせ、乱れた前髪を整えてくれた。
「Aさん、身体の調子はどう？」
「あの、私……？」
「鼻血を出して倒れたの。今、保護者の方に連絡を取っているところよ」
「そ、そうなんですね……ありがとうございます」
あの大勢の前で鼻血を出すなんて、とんだ醜態を晒したものだ。明日どんな顔で登校すればいいのだろうと頭を抱えていると、隣の円堂さんが心配そうに私を覗き込んでいた。
そうだ、入部テストの結果は。
「円堂さん、入部テストは＿＿」
「お前、天馬のマッハウィンドを顔で止めたんだぞ！ すごいガッツだな！」
「あ、ありがとうございます。でも、そこじゃなくて……あの、結果は……？」
おそるおそる尋ねると、円堂さんは「ああ」と納得したような声を上げて、ニカッと笑った。
「安心しろ、A。合格だ！」
合格、という単語を理解するのに時間を要した。
嬉しさが溢れて、じわりと目頭が熱くなる。
「合格……」
「ああ、よくやった」
養護の先生も「おめでとう」と言ってくれて、私はまた円堂さんからティッシュを受け取ることとなった。
.
家に帰ってから携帯を確認すると、葵ちゃんから入部テストについてメールが来ていた。
合格したのは入部テストを受けた生徒の半分ほどで、葵ちゃんから見てもやる気が無かったり、面白半分や記念受験のような感覚で入部テストを受けに来ていた生徒は不合格になったそうだ。ちなみに得点はあれから変動せず０対３。
「合格おめでとう！」の文字とカラフルな絵文字たちが画面の中で踊っているように見えて、私はしばらくそのメールを眺めていた。
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春間(プロフ) - 名無し40482号さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！ 励みになります。 (2020年10月7日 13時) (
レス) id: 71c8355ca9 (このIDを非表示/違反報告)
名無し40482号(プロフ) - とても綺麗で読みやすい小説で、感動しました…（ ; ; ）更新楽しみにしてます。 (2020年10月6日 14時) (レス) id: b02fa3353c (このIDを非表示/違反報告)
春間(プロフ) - Ruiさん» ありがとうございます。申し訳ないのですが、占ツクの使い方がよくわかっていないので今回は遠慮させていただきます。コメントありがとうございました！ (2020年8月9日 11時) (レス) id: e235827dac (このIDを非表示/違反報告)
Rui - 初めましてタイトル凄くいい感じ！もしよかったら好きな作品出来るイベントもし参加出来たら嬉しいです勿論CSS付きも可能です。「 あなたの小説読ませて下さい。」です。 (2020年8月9日 0時) (レス) id: 79cb60a812 (このIDを非表示/違反報告)
春間(プロフ) - 充滞さん» ありがとう、頑張ります！ (2020年8月7日 19時) (レス) id: e235827dac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春間 | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/april_hrm
作成日時：2020年8月5日 11時
