1-12.今さらでも ページ12
それから何本もシュートを打ったがうまくいったのは一割ほどで、ゴールに届かなかったりあらぬ方向へ飛んで行ったのがほとんどだった。
途中からは松風くんと剣城くんと私の３人で一つのボールを奪い合い、もみくちゃになって誰が打ったのかもわからないシュートを円堂さんは笑顔で受け止めていた。手加減をしてくれている２人にかなうはずもなく、私は地面に膝をついた。肩で息をする私を葵ちゃんが心配そうに覗き込む。
「大丈夫？」
「あ……ありがとう……」
「Aちゃん、すごいよ！ あの二人と一緒になってサッカーするなんて！」
「全然ついていけてなかったよ……」
「そんなことないって。それにこれからだよ！」
私は「これから」という言葉にはっとして葵ちゃんを見る。確かにこれは今日限りじゃない。明日も明後日も、私はサッカーができる。この雷門中サッカー部で。
「そう、だね。これからだよね」
私は葵ちゃんたちの輪から離れ、円堂さんに話しかけた。
「円堂さん、遅い時間までありがとうございました」
「いいシュートだったぞ」
円堂さんはにかっと笑った。白い歯が眩しい。
「……あの、どうして私にサッカーをさせたんですか？」
そう尋ねると、円堂さんはきょとんとした顔になった。
質問の仕方がよくなかったことに気付き、慌てて「嫌だったわけではないんです」と付け足す。
「ただ、どうしてかなって……私はずっとマネージャーでしたし、こっちでもマネージャーで入部するつもりだったので」
円堂さんはそれを聞いて、「ああ」と納得した声をこぼした。
「選手じゃないとわからないことがあるなら、選手になってみればいいと思ってな」
「あ……」
“選手じゃないとわからないこと”。それは私が前のサッカー部の部員に言われたことだ。
今日、松風くんと剣城くんとサッカーをしてわかった。ボールが取れなかったり、シュートをうまく決められないのは、すごく悔しい。ベンチから見ているだけではわからない。
「私、本当に悪いことを……」
前の学校のサッカー部を思い出し、俯く。部員の気持ちが今さらになってわかるなんて。あの発言はどう考えてもマネージャー失格だ。
「やってみなくちゃわからないことなんて、まだまだたくさんあるさ」
円堂さんは優しく言って、私の肩をぽんと叩いた。
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春間(プロフ) - 名無し40482号さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！ 励みになります。 (2020年10月7日 13時) (
レス) id: 71c8355ca9 (このIDを非表示/違反報告)
名無し40482号(プロフ) - とても綺麗で読みやすい小説で、感動しました…（ ; ; ）更新楽しみにしてます。 (2020年10月6日 14時) (レス) id: b02fa3353c (このIDを非表示/違反報告)
春間(プロフ) - Ruiさん» ありがとうございます。申し訳ないのですが、占ツクの使い方がよくわかっていないので今回は遠慮させていただきます。コメントありがとうございました！ (2020年8月9日 11時) (レス) id: e235827dac (このIDを非表示/違反報告)
Rui - 初めましてタイトル凄くいい感じ！もしよかったら好きな作品出来るイベントもし参加出来たら嬉しいです勿論CSS付きも可能です。「 あなたの小説読ませて下さい。」です。 (2020年8月9日 0時) (レス) id: 79cb60a812 (このIDを非表示/違反報告)
春間(プロフ) - 充滞さん» ありがとう、頑張ります！ (2020年8月7日 19時) (レス) id: e235827dac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春間 | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/april_hrm
作成日時：2020年8月5日 11時
