240 さよならと吼える声 ページ10
「ど、どういうことだ...」
「ひとまず追っ払ったってことかな」
「いや、見逃してもらったというべき状況だ」
しかし、天馬は声を荒げた。
「でも、俺たちだって十分に！」
「ああ。敵の最強チーム相手になんとか戦えた。もっと特訓してレベルアップすれば、サッカーや円堂監督を取り戻せるはずだ」
「そう、ですよね」
肩を落として、しゅんとしている天馬。天馬はキャプテンとしての自分に焦っている。なんとか心の支えになれないものか...。
とうとうトーブたちとのお別れの時間がやってきた。驚くことに、トーブの両親が未来で見つかったという。会いに行くのかと思いきや、トーブはこの時代に残ると言った。
「オラ、この生活が気に入ってんだ。それに、家族ならいるしな！」
「そうか。それもまた人生じゃ。君のご家族にはワシが説明しておこう。いつか君が会ってみたくなった時に会いに行けばよい」
「なんかオラのために色々とやってくれたのに、すまねぇな」
「気にするな！」
「それよりさ、オラおめぇらと一緒に行きてーんだ！おめーらといると、オラウホウホくっぞー！！やってることもおもしれーし、ついていくことにしたぞ！」
「「「えええーーっ！？！」」」
「それもまた人生じゃ！」
トーブは言った。ビッグなら一人でも大丈夫だと。
「一人になった時こそ、わかるんだぜ。本当に強いかどうかがさ！」
イナズマTMキャラバンが飛び立つ直前まで、フェイはビッグの側にいた。いつまでも頭を撫でている。とうとう出発するその時も、窓を開けて、ビッグに語りかけていた。
「ビッグー！！さよなら、元気でなー！！」
「ビー！！ビー！！」
私も窓から顔を出し、大きく手を振った。
「ビッグー！！さよならー！！」
「ビー！！！」
その声はまるでさよならと言っているような、切ない声だった。
危険から守りたくなるような幼い恐竜。だけど、トーブの言っていたように、この自然界で生き抜くには、時に自分を危険の中に身を置かなくてはならない。その試練を与えるのもまた、保護者の役割なのだ。デスホーンに立ち向かえた今のビッグなら、きっと大丈夫。
窓は完全に閉まり、キャラバンは現代へワープした。
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作者名：充滞 | 作成日時：2024年3月4日 12時
