236 トーブの正体 ページ6
私たちは恐竜とサッカーをすることが日常となっていった。特にトロオドンという恐竜はサッカーが上手だった。彼らとの特訓の日々が続く。
トーブは素晴らしい身体能力をもつ少年だ。どの方向にボールを蹴っても、どんなにボールを高く蹴り上げても、それを難なく回収できる。人並外れたジャンプ力とスピードだ。そんなトーブの様子を眺めていると、突然アルノ博士が現れた。
「フォーッフォッフォッ！トーブの正体がわかったぞ！」
「えっ！？」
「ワシの時代から1世代前、タイムマシンを開発されてすぐの頃。タイムジャンプも技術も未熟だった頃じゃ。当時タイムジャンプの事故は多発しておった。その事故で、トーブはこの白亜紀へ飛ばされたのじゃ」
「ええっ！」
「拠点にあるカプセルは、間違いなく救命カプセルじゃろう。おそらくトーブの両親がトーブだけを助けるために乗せたのじゃ！」
たしかに救命カプセルは卵形だった。トーチャンと呼ばれるケツァルコアトルスがそれを卵と認識して、育てたという過程があった可能性は否定できない。
「トーブって未来の人間だったんだ...」
「今、時間管理局が彼の本当の両親を探しておる。じゃが、生きておるかはわからん...」
その時、違和感のある風を感じた。ハッとして振り返ると、その先で黄名子ちゃんが跳んでいた。
「もちもちぃ〜黄粉餅ぃ！！」
崖の上にはレイ・ルクの姿。気づかなかった。まさかシュートを喰らいそうになっていたなんて。黄名子ちゃんが守ってくれたんだ。もし守られていなかったら、どうなっていたかを想像するだけで恐ろしい。
「怪我はないやんね！？」
「ううん、大丈夫。ありがとう黄名子ちゃん」
「黄名子でいいよ！」
彼女のにこっと笑う顔が優しかった。
「目標捕捉」
"ムーブモード"
違う場所に転移させられた。
「目的、雷門の殲滅」
「殲滅！？」
物騒な単語が聞こえてきたけど、聞き間違いであることを祈る。
「あれは...パーフェクト・カスケイドだ！」
「おめぇらだな！ロックスターをあんな目に遭わせたのは！匂いでわかっぞー！！」
「ロックスター死亡。この事象によって、君たちの目標は達成不可能になる」
レイ・ルクのもとに、成人男性が現れた。一触即発の試合が始まろうとしている。
「オラもやらせてくれ！トモダチをひでぇ目に遭わせる奴はぜってぇーに許せさねえ！」
「よし、頼むよトーブ！」
「やるぞぉぉぉ！！」
試合は始まった。
237 vs パーフェクト・カスケイド [1]→←235 悲しみの夜に
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 22人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：充滞 | 作成日時：2024年3月4日 12時
