268 円堂監督の帰還 ページ38
時空最強のチームが完成した今、チーム名が改まった。その名もクロノストーム。時を越えて吹き抜ける暴風でフェーダの悪しき思考の少年たちの心の闇を吹き飛ばすという意味でのその名は、皆に賛同を持って迎えられた。
「でも、アルファやレイ・ルクたちは？」
「あいつらもラグナロクを一緒に戦ってきた仲間だド」
「私たちが議長に頼んだ。フェーダの最強チームに勝てるのはお前たちしかいない」
アルファの強い要望があり、ベータやガンマは出番を譲ることにしたらしい。
「松風天馬。私たちのサッカーを守ってほしい」
「...うん！もちろん！」
最初は敵だったアルファがそんなことを言うなんて。驚くとともに感動した。このラグナロクを通して、アルファはきっと大切なことを見つけたのだろう。ある時、円堂監督が現れた。
「円堂監督！クロノストーンだったんじゃ...」
「アルノ博士って人に戻してもらったんだ。みんな、心配かけて悪かったな」
「クロノストーンはフェーダに取られたんじゃなかったのか」
「昨日僕がフェーダから取り戻してきたんだ」
「円堂監督、おかえりなさい！！」
私やフェイを守ってくれた円堂監督。帰ってこれて、そして、人間に戻れて本当によかった。そう思っていると、隣にいた葵ちゃんと大介の会話が聞こえてきた。
「大介さんも人間に戻れるってことですよね」
「ワシはこの姿の方が気に入っとる。動きやすいしの。...あれが守か。大きくなったな」
「円堂監督に声かけなくていいんですか？」
「いや、今はいい。まだその時ではない」
その後、最終調整を行い、明日を迎えることとなった。無人の観客席で拓人くんと共に座りながら、明日のことを話した。
「とうとう最終決戦か...」
「俺たちなら勝てるさ」
この時空最強のチームなら、きっと勝てる。私もそう思う。空を見上げた時、拓人くんが言った。
「この前の二回戦の時はありがとう。Aが支えてくれたから勝てた」
「私ができたのはほんの少しのことだけ。たっくんがみんなを導いてくれたからだよ」
最初はどうなることかと思ったけど、拓人くんは見事にバラバラだったチームをまとめあげた。プレッシャーは凄かっただろうに、よくぞあれだけの成果を出せたものだ。
「次の試合もサポートしてくれないか。二人目の司令塔として」
私は頷いた。
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作者名：充滞 | 作成日時：2024年3月4日 12時
