259 ラグナロク二回戦 [1] ページ29
とうとう迎えた二回戦。絶対に負けられない戦いだ。その場に立つと、会場全体から異次元のプレッシャーを感じた。ホーリーロード全国大会決勝とは比べ物にならないプレッシャーだ。規模の違いをひしひしと感じる。水色のグラウンドの上に私たちは立っていた。
「みんな！俺の指示通りに動いてくれ！」
当然ながら、エルドラドメンバーからの返答はなし。先行きが不安だ。試合開始早々、拓人くんが神のタクトを発動するも、ガンマはそれを無視して突き進んだ。いとも簡単にメイアがボールを奪い、ギリスと超絶巧みなパスを繰り返した。
完璧な連携に、人を超えた頭脳のギル。それに対し、連携がガタガタで、人並みの頭脳が揃うチーム02。どちらが優秀なチームかは明白だ。当然のように先制点を奪われた。痺れを切らしたザナークが動き始めた。
「いいか！よく聞けぇ！このチームが勝つための方法を教えてやる！」
ザナークに注目が集まる。一体どんな方法だというのか。
「それはなぁ...この俺様が一人で活躍することだ！！だから動くな！俺一人いればいい！」
この状況をある生産工場に例えよう。いくつもの歯車は、ある製品を作ることを目的に動いている。上手く噛み合わない歯車を回すには、一つ一つ手を加えて改善する必要がある。しかし、生産期限が迫っている中、そんなまどろっこしいことはできない。即座に解決するには、歯車を除去し、大きな力をもつ大きな歯車を置くしかないのだ。それがザナークという訳だ。
敵も味方もなぎ倒し、吹き荒れる風はゴールに直進する。ザナークと天馬は似ているけど、違う。天馬は人々の間をすっと通り抜ける心地よい風だけど、ザナークは暴風だ。災害に近い。自然災害は人がコントロールできるものではないが、悪影響ばかりではない。長期的に考えるとプラスの影響をもたらす可能性がある。そもそも、この地球は自然災害の繰り返しで今の姿になっている。一概に善や悪に分類することはできない。
ザナークはたった一人で強引に突き進んだ。しかし、一向にシュートは決まらない。大きな歯車だけでは部品は組み立てられない。小さな歯車も共にあってこそ、ようやく目的のものを生み出せるのだ。
「みんな！連携するんだ！！この試合、絶対に勝たなくてはいけないんだ！！」
キャプテンの拓人くんは皆に広く声をかけ続けた。その懸命な姿に涙が出そうだ。
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作者名：充滞 | 作成日時：2024年3月4日 12時
