257 背番号争奪戦 ページ27
「試合のフォーメーションは、試合当日サカマキ監督によって発表される。今俺たちにできることはただ一つ、チーム内で互いに理解を深めることだ」
「それはどうかな。個人技を高めることが重要だとボクは思うけど」
「勿論それも重要だ。だが、俺たちに今一番必要なのは、チームの連携だ」
「考えが合わないようだね」
ガンマが呆れたように両手を上げ、肩をすくめた。彼らは再びミーティングルームの出口にぞろぞろと向かった。エルドラドメンバーは普段バラバラに行動するのに、こういう時は決まって同じ行動を取るのはなぜだろう。
「話はまだ終わっていない。お前たちにはこのユニフォームを着てもらう」
「それは...エルドラドのユニフォーム！？」
「ここにユニフォームを置いているから、各自取りに来てくれ」
すると、彼らは足早に取りに来た。突如としてユニフォームの争奪戦が始まった。
「ちょっとー、その手を離してもらえますかぁ」
「10番はボクのものだ。キミこそその手を離すんだ」
アルファはちゃっかりキャプテンマークを腕に巻いている。そんな彼らに対し、拓人くんが困ったように窘めた。
「背番号は決まっている。サカマキ監督からの指示だ」
「...それならそうと早く言ってくださいよぉ」
「ボクが10番か。監督はボクをよく理解しているようだ」
「気に入らなーい。8番なんて」
「6番...」
「あれっ、15番がある」
「いつもの狩屋の背番号だ。11番からとんで15番があるのは、監督の意図を感じるね」
「まー、じゃ有り難くこれ着よっかなー」
私は適当に5番のユニフォームを取った。
「話はこれで終わりかい？何もないなら出させてもらうよ」
「...ああ」
その時、突然ザナークが現れた。ミーティングルームの机に座り、前の机に足を置いている。
「ざ、ザナーク！！」
ガンマが泡を拭いて倒れそうだ。まずい。コンプレックスが再発してしまう。ザナークを近づけてはならない。
「何の用なの」
「化身で滑ってたお前か。あれはナイスアイデアだったぜ」
なぜか褒められた。訝しげに彼を見ていると、彼は私たちにあることを告げた。
「あいつらのやり方、なんか気持ちわりぃんだよなあ。あれならエルドラドのじじいの方がまだ可愛くみえちまう。そういう訳でこっちに混ぜてもらうぜ」
「...！？」
「NO。ザナーク・アバロニクは30000クライムポイントの罪を犯したS級犯罪者。チームに加わることは認められない」
「俺も反対だ。お前は信用できない」
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作者名：充滞 | 作成日時：2024年3月4日 12時
