桜前線 6【イナクロ】 (ページ26)

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256　一回戦を終えてページ26

試合後、先ほどの試合について、自分の部屋で悶々と考えた。

剣城がキャプテンとして選ばれた理由。それは、未知の敵を観察し、その危険性を即座に仲間に伝える役割を求められたからではないだろうか。フェーダは超能力をもつSSCの集まり。超能力を使わないと宣言したものの、戦争である以上、人間離れした力をもつ彼らがいつ約束を破るかわからない。そんな時に適切にチームへ指示を出せるのは剣城だと鬼道監督は考えたのではないだろうか。...これはただの個人的な考察だけど。

結果として、フェーダは約束を守り、超能力を使わず戦い、勝利を手にした。超能力を使わずとも勝利できるという、真の強さを誇示している。

(フェーダは強過ぎる...)

自分たちの実力を遥かに超えた存在。そんな相手に勝てるのかな。試合は明日。私たちが出る番だ。そんな時、扉がノックされた。開けると、拓人くんが立っていた。

「緊急ミーティングを行う。すぐに集まってくれ」
「わかった」

ミーティングルームに向かうと、既に何人か集まっていた。ここで一部のメンバーが今まで議論し合っていたのだろう。そんな雰囲気がした。

「先ほどトウドウ議長から新たな情報が伝えられた。チーム01から途中で離脱したフェイはSSCだった」
「なんだって」
「フェイはフェーダのトップによって、俺たちの時代へ送り込まれた。その時にはフェイはSSCとしての記憶を消されたようだ」

SARUはアルノ博士のもとへフェイを送り込み、サッカーを守るように仕向けた。サッカーを守って保身をしたいSSCにとって、歴史改変に意義を唱えるアルノ博士は好都合な存在だった。驚くことに、そのことをアルノ博士は知っていたという。それでもアルノ博士はフェイを迎え入れた。

「二回戦の相手はギルというチームだ」

拓人くんが情報をスクリーンに映し出すと、エルドラドメンバーがコメントした。

「厄介だな...メイアとギリスがいるじゃないか」
「知ってるの？」
「YES。フェーダの中でも一二を争う頭脳の持ち主だ」
「奴らはフェーダが戦争に使うアイテムの開発者でもある。何を仕掛けてくるかわからない。それに、戦術はフェーダの中でもトップクラス。一回戦のザンより、戦術能力も上回っている」

「あーら。ビビっちゃってるんですかぁ？」
「誰にものを言っているのかな？念のために言っておくけど、試合中にボクの足を引っ張るような真似だけはしないでおくれよ」

煽り、煽られが続く。