251 試合前日のミーティング ページ21
夕方に最後のミーティングが行われた。今日は試合前日。本来ならば、このタイミングでチームの結束を高めなければならないのだが＿。
「SSCのサッカーに関する実力はほとんどわからない」
「ふわぁ...眠くなっちゃいましたぁ」
「おい。まだ途中だぞ」
「敵の情報がわからないんじゃ、ミーティングの意味ってありますぅ？」
「...なにっ？」
「おやおや。怖くなって逃げるのかいベータ」
「ムゲン牢獄でレベルアップした私を、前と同じだって思っちゃったりしてます？」
「レベルアップしたのはキミだけだと思うかい？」
「ケッ、今度は仲間割れか」
「...なんだいアルファ」
「これ以上ここに留まる意味はない。道をあけてくれ」
「悪いねアルファ。ボクが優先だ」
「NO」
「反抗的〜気に入らなーい」
「やれやれ、アルファにまで舐められるようでは世も末だね」
「今貴方たちと決着を着けても構わないですけど？」
「やめろ！俺たちはチーム！一緒に戦う仲間だ」
「仲間ぁ？あはは！笑っちゃいますぅ」
「同じエルドラドに所属していても、彼らとは競い合う敵だ」
「まあ、誰が一番かは明らかだけど」
「空気わるーい」
「な、どこへ行く！戻るんだみんな！」
呆れてものも言えない。奴ら、本当に勝つ気はあるんだろうか。
最悪の空気の中、サカマキはさらに拓人くんにプレッシャーを与えた。
「さあ、どうする？チームのキャプテンは君だ」
全責任を押し付ける監督に対し、納得のいかなかった私は立ち上がった。
「それを言うなら、チームの監督は貴方です。チームの編成を決めた貴方にも責任はあるのでは」
「フン、言うじゃないか。キャプテンが嫌なら辞退すればいい」
ああいえばこう言う。それを言われてしまっては、どうしようもない。確かに代わりはいくらでもいる。アルファ、ベータ、ガンマ。彼らはきっとキャプテンの役割を喜んで引き受けるだろう。でも、それで本当にいいのか。承認欲求の強い彼らが好き勝手に采配して、最悪の結果に繋がってしまわないか。ラグナロクは世界の命運をかけた戦いなのである。必ず勝たなければいけない、責任の重い試合だ。
キャプテンの拓人くんは、サカマキからの要求に応えつつ、協調性のないエルドラドメンバー含む混成チームをまとめ上げなくてはならない。まさに中間管理職。板挟みの状況。拓人くんの胃痛が心配だ。
問題の試合は明日。もう時間がない。
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作者名：充滞 | 作成日時：2024年3月4日 12時
