桜前線 6【イナクロ】 (ページ3)

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233　最強の恐竜ページ3

「うめーぞ！食えッ、トンマ！」
「天馬だよ...」
「どうしたゴン助。これもうめーぞ！」
「信助だよ〜...」

果実の種子部分を食べた錦くんが飛び跳ねて踊り始めた。すっぺー踊りとでも言うべきか。トーブもノリノリだ。その盛り上がりが収まったところで、拓人くんは本題を切り出した。ティラノサウルスよりも強い恐竜がいないか尋ねたところ、ロックスターという恐竜が強いと語った。目標が定まったところで、空腹が満たされたトーブが寝てしまったので、私たちも寝ることにした。

自然の中で朝を迎えたのは初めてだ。空気が良くて、日光を全身で浴びれて気持ちいい。現代社会に生きる私たちは普段守られた生活をしているけれど、こうして野生の中で過ごしてみるのも悪くないかも。

早速出発したものの、1時間も経たないうちに疲れた。もう歩けない。高低差もあるし、そもそもの距離が遠すぎる。昼になるにつれて、気持ちよかった筈の日光が強く感じるようになり、その熱さに参ってしまいそうになる。そんな中でも私たちは互いに助け合って目的地へ進んだ。ようやく辿り着くと、ロックスターと呼ばれる恐竜が現れた。その恐竜は突然襲ってきた。巨大な足が私たちを踏み潰そうとしてくる。そんなことをされたら一溜りもない。本気で命の危機を感じた。

「ぎゃああああ！！！」
「うわぁああああ！！！！」

振り返っていたら、走る速度が落ちて即潰される。ただ前を見て進むしかない。怖い。全力で走っていると、地面の振動が止んだ。振り返ると、化身を出したトーブがロックスターを制止していた。

「落ち着くんだ！ロックスター！」

それでも落ち着かないロックスター。そんな状況に対し、機転を利かせてロックスターに向かっていったのは剣城だった。

「俺たちに任せろ！」

視線がこちらに向けられた。なるほど、そういうことか。

天馬と私にボールが渡り、剣城へ高くパスをする。高い位置にいた剣城はロックスターに対してデスドロップを放った。

「ナイスアイデア、剣城！」

私たちの連携が活かせた瞬間だった。その様子を見て、トーブはサッカーに興味をもった。

「すっげー！！サッカーってすっげーぞ！！」

トーブがロックスターに事情を聞く。どうもエルドラドが絡んでいそうだ。おそらくロックスターを洗脳したのだろう。ロックスターは体が弱り、もう長くないことが判明した。そんな中、ロックスターのもとへ幼い恐竜が駆け寄る。その恐竜はビッグというらしい。